第二幕第二場(2)
文字数 542文字
そういえば、ユウキ先生がね、こないだ渡したノートちゃんと書いてますかって。
ああ、リキと俺の、愛の交換日記？
ちがうでしょう。あなたが表に出てるときの行動、報告するんでしょう。リキ君の記憶、そのあいだ飛んでるんだから。
（ノートをとり出し）見たい？
そうじゃなくて。
見たいんでしょ。
別に。
（ノートを開き、でたらめに読む）「○月○日、リキより。ねータカ君きいて。きょう、ハッちゃんに、むりやりチューされちゃった」。ええっ？！
ちょっと待ってよ。
「えーん、どうしよー、はじめてだったのにー。」
見せなさい！ ウソばっかり！
可愛っ、赤くなってんの。ね、見せてあげたら俺にもチューしてくれる？
しない！ じゃなくて、もう！ 知らない。
どうどうー。怒らない怒らない。いい子で宿題やってんだから、許して。（ノートを見せる）ほらぁ、買い物したレシートまでいちいち貼ってあるのよぉ。アタシってばエラくない？ もうね、「すてきな奥さん」家計簿コンクールに出しちゃおうかと思って。
（笑ってしまう）よくそれだけ、次から次へと。
これ、書き終わったらあげるね。表紙に「愛するハツコに捧げる、はあと」って書いて。
いらない。
（倒れる）うう、冷たいー。受けとってよ、思い出に。
何の思い出よ。
（倒れたまま）俺の。
間。
タカ君……？
