第二幕第六場(6)

文字数 260文字

主人は、ほぼ即死だったろうということです。自分の心臓をみごとに一突きしているそうです。

リキ君は……、それとも、タカ君なんでしょうか。とにかく出血がひどかったから。手術の後、今度は高熱を出して。意識が戻らないんです。

今夜が、峠だそうです。

先生。
これ、雨ですか?
ハツ、水滴を受けるかのように、手をさし出す。

雨ですよね。


誰かが泣いている。
でも、誰なんでしょう。


こんなに痛いのは私の胸なのに、涙は、空から落ちてくる。

この町全体が一つの大きな痛みになったように、

天から、銀の筋を引いて、

涙がとめどもなく流れ落ちてくる。

暖かな音楽。
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登場人物紹介

リキ(力) 若い男。

タカ(高) 若い男。リキの「同居人」。

ゲン(源) 若くない男。タカの「客」。

ハツ(初) 若くない女。ゲンの妻。

ナツ(夏) 少女。

リキ&タカ(二人同時に)

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