文字数 505文字

カーテンの隙間から射す強烈な朝日で目が覚めた。
ぼーっとしたまま
(知らない天井…)
とどこかで聞いたような台詞を呟いてすぐ、我に返って慌てて身を起こす。
“おはようございます”
「おはよう」
反射的に返して、
(!)
今度は本当に目が醒めた。目の前には喋る猫が一匹。
(夢じゃなかった…)
「……えー、と…朝ごはん食べて来るけど、何かいる?」
とりあえず話しかけてみた。
クロはしっぽをピンと立て
“ではお言葉に甘えて”
と答えた。

母屋へ向かう。香織は起床が遅い為、朝食は各自で用意することになった。代わりに台所にあるものは自由にしてよいと言われている。
ご飯が炊けていたので納豆と漬物、インスタントの味噌汁、麦茶を用意した。
(クロには…何が良いんだろ)
昨日のバーガーのしおりに、自作する時は塩分に気を付けろと書いてあったことを思い出した。とりあえずご飯にお湯をかけ、鰹節をかけただけのものを用意した。
(あとは本人に聞けばいいしな)
そんなことを思う程に、この異状に適応していることを自覚し苦笑する。
昨夜は結局─勿論疲れもあったが─逃げるように眠ってしまった。
(ちゃんと話してみよう)
母屋で素早く食事を終え、クロのご飯とともに離れへ戻った。
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