彼らが抱えた大きな足枷

文字数 453文字

で、まとめると?
 多賀ももよせばいいのに、追い討ちをかけてくる。いい加減、奏野も怒り出すんじゃないかと心配になってきたときだった。
 おい勝昭、ちゃんと話したんだろうな、風間に。

 矛先を変えて、旗色の悪くなった話を一気になかったことにした。この辺は、クラスの裏ボスの面目躍如といったところだ。

 そのとばっちりを食ったのは僕なわけで、格好悪さをごまかしたい一心での威圧に耐えなくてはならなくなった。

話したよ、昨日。帰りに学校の玄関で、捕まえて直に。

 落ち着いて話そうと努めてはみたが、声がちょっと甲高くなっていた気がする。それでも、何を聞かれても即答できるように、その場の状況をもう少し詳しく思い出してみることにした。

 確かに風間は、俺に了解の返事をしていた……。

『わかった。家でできるだけ打ってきて、明日、5階の……』
『自習室で完成して、まとめて、プリントアウト。』

 ……話があんまりまどろっこしいので、僕は一度言ったことをもう一度言い直さなくてはならなくなったのだった。

 だが、奏野はそれにも文句をつける。

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登場人物紹介

遠田勝昭(とおだ かつあき)


自他ともに認める高校2年の優等生。内気でシニカルな割に、感情に任せて突拍子もない行動を取ることがある。ちょっとムッツリスケベ。

奏野弓(そうのゆみ)


 一見クールだが、脳に回る栄養までプロポーションに吸い取られた感のある高2女子。ワープロ操作が異様に早い情報処理部部長。正義感は強いが責任は取らないクラスの裏ボス。

多賀久平(たが きゅうへい)


 思考もスタイルもスマートな高校2年男子。合理主義者で必要なことしか言わないし、やらないが、仕事は早い。女性への観察も鋭いが、そっち方面はストイック。

井原佐紀(いはら さき)


 小柄で、実験中でも時々いるのかいないのか分からなくなるくらい物静かな高校2年の女の子。几帳面な化学部部長。頭は切れるがそれを表には出さず、困っている人を人知れずフォローするのに生かす、心優しく奥ゆかしい少女。

風間邦衛(かざま くにえ)


 人はいいが動作もカンも鈍い巨漢。高校2年生。訥弁でコミュニケーション能力に乏しく、付き合うには忍耐を必要とする。

新島真由(にいしま まゆ)


スタイル抜群で顔も可愛い高校2年生女子。性格のねじ曲がった女子グループのボス。自分以上に可愛く、男子にモテる女子をいびるためなら、肉体的・精神的にどれほどの労力も厭わないサディスト。

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