意外な事実
文字数 539文字
「どういうことだ新島! お前のノートがどこにあるって?」
声を荒らげる先生に、新島が問い詰められてうろたえている。それはそれで見ものだとは思ったが、何が起こってるのかさっぱり分からない。
聞かれもしないのに答えた多賀も、まずは混乱した頭の中を収めたいのだろう。
奏野はといえば、僕と多賀、風間と井原の顔をかわるがわる眺めながら、眼鏡の向こうの目をしぱしぱさせている。
そのなんともいえない空気の渦を、風間の意味不明な弁解が加速させる。
このまま、混乱の渦に呑み込まれる醜態はごめんだった。僕は奏野みたいな詰問の声を上げる。
申し訳なさそうに口ごもる風間を励ますかのように、多賀が手を叩いた。
どっちかというと、自分の読みへの褒め言葉だったらしい。
やっと話についていけるようになった奏野の一言で、僕の頭に稲妻の光が走った。