隠れセクシー系…情報処理部長の場合
文字数 1,127文字
高2の冬休み……つまりクリスマスと年越しと正月という和洋とりまぜた大イベントのひしめき合う夢のゴールを目前にした、12月初めの夕方のことだった。
僕たち3人は、心弾ませながら放課後を楽しむこともなく、高校の5階にある自習室にいた。
教室の端から無秩序なアメーバ状に寄せ集められた机。
そこに向かって座る目の前には、配線も乱雑なノートパソコンと増設ハードディスクとプリンターがひしめき合っている。
その端末の一つに向かう奏野弓(そうの ゆみ)は、液晶画面から目を離すことなく、凄まじい速さでキーボードを叩きながら不愛想に尋ねてきた。
慣れないキーボード操作なんだから、急かされても困る。イライラしながら突慳貪にはねつけると、奏野は鼻にかかった声で出るとこ出た上半身をくねらせた。
もちろん、顔と目と手の位置は変わらない。
白状すると、ちょっとゾクっときたりする。そういうキャラじゃないつもりだけど、これでも男だ。仕方が無い、と開き直ってはみるけど、邪な心を見抜いたかのように、奏野の声は厳しかった。
奏野は情報処理部の部長だが、クラスでは別の顔がある。クラスの女子の中でも裏のボスで、何か言いだしたら男女ともに逆らえる者はほとんどいない。