窓の下で胸に顔を埋める
文字数 737文字
だったらやっぱり、やることは、ひとつしかない。ムチャクチャだけど、これがいちばん確実なのだ。
自己申告したのには、ワケがある。こう言えば、絶対に慌てて手を離すと思ったのだ。
でも、奏野は悲鳴も上げなければ、見かけよりも更にある胸を両手で覆うこともなかった。
僕なんか問題にもされない。多賀はキーを乱打しながら、ディスプレイ上を眺めている。そこに浮かぶデジタル表示を確かめているんだろう。
終わった。何もかも。
奏野のレポートは提出されず、力になれなかった僕は告白の機会を諦めるしかない。
できることは、提出物偽造の証拠を残さないことだけだ。
無理に明るく声を上げて、僕は何事もなかったかのように起き上がろうとした。
僕を見上げる奏野と、目が合う。
身体が硬直する。その瞬間、ドアが開く音がした。
奏野は僕を床の上に蹴たぐり倒すと、床から跳ね起きて、乾いた笑い声を立てた。
やむを得ない。
傍目からは誰が見たって、僕と奏野の不純異性交遊の現場だったんだから。