彼らが抱える共通の事情
文字数 415文字
険悪な雰囲気から逃げ出すこともできない以上、割って入るしかない。
井原が自分でレポートを打っても、実験グループの誰ひとりとしてプリントアウトできないのだった。
普通に考えれば、いじましいまでの努力というべきだ。それのなのに、どうも多賀にかかると時間のムダのようにしか聞こえなくなる。
僕は話を少しでもポジティブな方へ向けようとして、ムリに明るく言った。
だが、奏野は僕たちがやっている人助けの危うさ、というかヤバさを思いっきり口にしてくれた。