暗褐色の不要箇所

文字数 768文字

「この間のアレは限りなく黒。情報を集める為、引き続き調査を続けます」
 そう返すと、シュバルツは右手の指を揃えて自らの額に触れさせた。そして、左目だけを開いて男性を見つめると、先程より低い声で話を続ける。
 
「で、調査をするにはお金が掛かるんだけど、昨日の堕者は使えそう?」
 シュバルツは、そこまで話した所で右目を開き、両目で男性の顔を見つめた。一方、彼の話を聞いた者は左手で顎を触りながら苦笑し、少しの間を置いてから話し始める。
 
「悔い改めるなら」
 男性は、そう言うと軽く目を瞑り、嘲るような笑みを浮かべた。
「ともあれ、

では、実験には供せないでしょうね」
 男性は、そう言うと両手で口を覆い、目を瞑る。
 
「飲酒量が多すぎて、レバーは売れそうにありませんし」
 男性は溜め息を吐き、薄目を開けて話を続ける。
「場合によっては……最悪の選択をしなければならないかも知れません」
 シュバルツは男性の台詞に顔を顰め、話をした者は大きな溜め息を吐く。
 
「まあ、選択肢が最悪とならぬよう、善処はしますよ」
 男性は、そう続けると口元から手を離し笑顔を作った。対する青年は両掌を上に向け、困った様子で苦笑する。
 
「善処……ねえ」
「ええ、善処です」
 男性はそう返すと片目を瞑り、シュバルツは両目を瞑って頭を掻いた。
「ま、宜しくお願いしますよ?」
 シュバルツは、そう言い残すと立ち上がり、男性の返答を待つこと無く歩き始めた。そして、ドアの前で立ち止まると、彼は男性に頭を下げてから部屋を出る。
 
 一方、部屋に残された男性は自嘲気味に笑い、焼き菓子の一つから焦げている箇所を毟り取った。
「最大多数の最大幸福……多者の生活を守る為には、少々の犠牲も必要……ですか」
 そう呟くと、男性は菓子から毟ったものを指先で粉々にした。
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登場人物紹介

???
内容の都合上、名無し状態。

顔に火傷の痕があり、基本的に隠している&話し方に難有りでコミュニケーション力は残念め。
姉とは共依存状態。

シスターアンナ
主人公の姉。
ある事情から左足が悪い。
料理は上手いので飢えた子供を餌付け三昧。

トマス神父
年齢不詳の銀髪神父。
何を考えているのか分からない笑みを浮かべつつ教会のあれこれや孤児院のあれこれを仕切る。
優しそうでいて怒ると怖い系の人。

シュバルツ
主人公の緩い先輩。
本名は覚えていないので実質偽名。
見た目は華奢な青年だが、喧嘩するとそれなりに強い。
哀れな子羊を演じられる高遠系青年。

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