第26話『女神様の祝福を得る儀式』 何、人の身体で勝手な事してるのよ、女神様。
文字数 1,405文字
ダグラスは、腰に差している剣をいつでも抜けるように構えていた。
近衛の出方次第では、王弟殿下を斬る気なのだろうか……。
いや、実際に斬らなくても、剣を抜いただけでも、この場で処刑されてしまう。
多分私は大人しく従った方が良いのだと思う。
だけど、ここで帰らないともう二度と王宮の外に出られる気がしないのだけど。
私の口から自然と言葉が出ていた。
落ち着いた声で静かに言う。
「控えなさい、そこなる兵士たち。我を誰だと思うておる」
そうして、王弟殿下にでは無く。前方にいる女王陛下に向かって静かに言った。
「これは、国としての方針か? それともこの者の独断か?」
空気がピリピリする。
威圧が凄い、返答一つ間違えば国が滅んでもおかしくないような、そんな殺気ともいえる……。
王弟殿下は、真っ青になってひれ伏して、女王陛下が発言する前に言った。
「私の独断でございます。どうか、処罰はこの身一つに留めて頂きたい」
私 は、スゥ~と目を細め。その愚かな王弟殿下の頭の上に……。
『ダメ~! やめなさいっ。何、勝手に人の身体使っているのよ! 光玉』
『光玉って……そんな雑な呼び方……女神なのに。せめて光ちゃんって呼んで。里美が困ってると思ったから、代わってあげたのに酷い』
私の中に入った途端、言葉遣いまでタメ口になっているよ。
光玉の意識を抑え、何とか浮上できた私はゼイゼイと肩で息をしていた。
「と……とにかく、家に帰ります」
そう言って、ダグラスを連れて私は王宮内のゲストルームに行くために、謁見の間を出ようとする。
今度は、誰も私たちを引き留めることはしなかった。
王宮からの帰りの馬車の中で、ダグラスは聞いてきた。
「何だったんだ? さっきのは」
「ダグラスもこの世界に転生する前に会ったんでしょ? 光の玉。あれが女神の正体で、今も私の中にいるのよ」
「はぁ」
ダグラスは、よくわかっていないって感じで返事をしていた。
「それで、私たちが困っていたのを見かねて、私の意識と交代して出てきてたの」
「ああ。なるほど、つまり女神が言っていた『彼女を愛し慈しむ』というのは、おま……いやメグの言いなりになれって事か」
フムフム、納得という感じでダグラスが腕を組んでうなずいている。
「何? それ」
「天からの声、聞いて無いのか? メグは」
「天からの声? 女神とはしゃべったけど……」
「まぁあれだな。要は『聖女を大切にしないと、この世界は救われないよ』って、聖女を護るための女神の警告だな」
「聖女を護るため?」
「だってそうだろう? 聖女は存在するだけで良いんだ、どこにも行かないように王宮内にでも監禁すればいい話じゃないか。元々、召喚された異世界の人間なんだし」
「やっぱり、そういう考えになるわよね」
なんだかなぁって感じでため息が出る。私の危惧していた通りだった。
馬車は、私たちのお店がある大通りに出る。すぐにお店が見えてきた。
お客さんとその使用人らしき人が、10リットルの容器を3つ運び出して荷馬車に乗せているのが見えた。
レストランを経営しているリックさん、最近常連になったお客さんだった。
良かったお店開けてくれている。
「ただいま」
私とダグラスは、馬車を降りてお店に入って行ったのだった。
近衛の出方次第では、王弟殿下を斬る気なのだろうか……。
いや、実際に斬らなくても、剣を抜いただけでも、この場で処刑されてしまう。
多分私は大人しく従った方が良いのだと思う。
だけど、ここで帰らないともう二度と王宮の外に出られる気がしないのだけど。
私の口から自然と言葉が出ていた。
落ち着いた声で静かに言う。
「控えなさい、そこなる兵士たち。我を誰だと思うておる」
そうして、王弟殿下にでは無く。前方にいる女王陛下に向かって静かに言った。
「これは、国としての方針か? それともこの者の独断か?」
空気がピリピリする。
威圧が凄い、返答一つ間違えば国が滅んでもおかしくないような、そんな殺気ともいえる……。
王弟殿下は、真っ青になってひれ伏して、女王陛下が発言する前に言った。
「私の独断でございます。どうか、処罰はこの身一つに留めて頂きたい」
『ダメ~! やめなさいっ。何、勝手に人の身体使っているのよ! 光玉』
『光玉って……そんな雑な呼び方……女神なのに。せめて光ちゃんって呼んで。里美が困ってると思ったから、代わってあげたのに酷い』
私の中に入った途端、言葉遣いまでタメ口になっているよ。
光玉の意識を抑え、何とか浮上できた私はゼイゼイと肩で息をしていた。
「と……とにかく、家に帰ります」
そう言って、ダグラスを連れて私は王宮内のゲストルームに行くために、謁見の間を出ようとする。
今度は、誰も私たちを引き留めることはしなかった。
王宮からの帰りの馬車の中で、ダグラスは聞いてきた。
「何だったんだ? さっきのは」
「ダグラスもこの世界に転生する前に会ったんでしょ? 光の玉。あれが女神の正体で、今も私の中にいるのよ」
「はぁ」
ダグラスは、よくわかっていないって感じで返事をしていた。
「それで、私たちが困っていたのを見かねて、私の意識と交代して出てきてたの」
「ああ。なるほど、つまり女神が言っていた『彼女を愛し慈しむ』というのは、おま……いやメグの言いなりになれって事か」
フムフム、納得という感じでダグラスが腕を組んでうなずいている。
「何? それ」
「天からの声、聞いて無いのか? メグは」
「天からの声? 女神とはしゃべったけど……」
「まぁあれだな。要は『聖女を大切にしないと、この世界は救われないよ』って、聖女を護るための女神の警告だな」
「聖女を護るため?」
「だってそうだろう? 聖女は存在するだけで良いんだ、どこにも行かないように王宮内にでも監禁すればいい話じゃないか。元々、召喚された異世界の人間なんだし」
「やっぱり、そういう考えになるわよね」
なんだかなぁって感じでため息が出る。私の危惧していた通りだった。
馬車は、私たちのお店がある大通りに出る。すぐにお店が見えてきた。
お客さんとその使用人らしき人が、10リットルの容器を3つ運び出して荷馬車に乗せているのが見えた。
レストランを経営しているリックさん、最近常連になったお客さんだった。
良かったお店開けてくれている。
「ただいま」
私とダグラスは、馬車を降りてお店に入って行ったのだった。