第68話 竜魔王討伐
文字数 1,780文字
「いや~!」
目の前で、デイミアンが吹き飛ばされて、エミリーは、しゃがみ込んだまま叫んでいた。
私は思わずデイミアンの方に駆けよる。
小さくうめき声が聞こえるだけで、ぐったりしている。大きな外傷は無いけど呼吸がちゃんと出来ていない。どうしよう……今、ここで力を使ってしまったら。
「メグ、これを使って」
青いポーションをキャロルから渡された。だけど、キャロルたちのポーションは。
「クラークが投げてよこしたの」
クラークの方を見るとまた竜魔王の方に向かって行くところだった。
よく見ると、皆ケガをしている。私の防御結界を纏 っているダグラスでさえ血を流していた。
私は、デイミアンの口の中にポーションの中身を流し込む。
デイミアンの身体に纏わりつくように光の粒子が舞ったかと思うと、身体から力が抜け呼吸も楽になったようだった。
エミリーの方を見るとへたり込んでがくがく震えている。
「やっ……。もうやだ」
ブツブツ口の中で何かを言っていた。
「エミリー様、こっちへ」
私は、また衝撃波が来たらいけないと思って、エミリーの方に行こうとした。
何とか、シンディーの結界の方に来てもらわなければ……。
「やだっ。助けて、クラークさまぁ~」
エミリーがパニックを起こして弾かれたように、クラークの……魔竜王の方に走り出してしまった。
「戻りなさい」
キャロルが叫ぶ。シンディーは、結界を維持しながら唖然としている。
「エミリー様」
私は、エミリーの後を追おうとしたけど、私の中から微かに『ダメ。止めないで』と声がして身体が動かなくなってしまった。
『光……ちゃん?』
『えみりを追っちゃダメ』
『どうして? まだ、あの距離なら間に合うわ』
『ダメ。この為にえみりを召喚させたんだから』
『光ちゃん? 何で』
『里美と間違えてじゃ無い。聖女の資格が少しでもあれば、初代聖女の血で出来たネックレスは着けられないの。だから、愛情を理解できないあの子を選んだのよ』
『なんでそんな事を』
『竜魔王を討伐して、解放するため。里美しかいなかったの、私が一緒に中に入れる魂は。だから、今世で決着を付けるために、ネックレスを着けられるえみりも召喚したの』
光ちゃんと会話している間にも、エミリーはクラーク達の方に走り寄って行っていた。
竜魔王と戦っている男性陣が信じられないと言った顔でエミリーを見る。
「お前っ、何やってんだ」
クラークが、エミリーの方に手を伸ばした直後に、竜魔王の前足の爪がエミリーに突き刺さった。
「ぎゃー! あ……あ」
爪が刺さったままエミリーの身体は振り上げられる。
エミリーの胸にあった、ネックレスの初代聖女の血で出来た宝石が砕けて、竜魔王に降りかかった。
ぐおおおお~!
竜魔王は苦しいのか、エミリーが突き刺さっている前足を振り回し、エミリーの身体が爪から抜け宙を舞い。私たちがいる方とは反対側の壁にブチ当たった。
エミリーの身体は、ずるずると壁を伝って落ちていき、もうピクリとも動かない。
『里美、全力で浄化の力使って。倒しましょう、竜魔王を』
私は色々言いたいことがあったけど、光ちゃんに従う事に決めた。
だって、これで竜魔王を倒せなかったら、エミリーは完全に無駄死にだ。
「クラーク、ハワード、ダグラス。私が力を使ったら、一斉に攻撃をして」
そう声を掛けて、私はこの時の為に温存していた力を一気に放出させる。
くらくらする。
私は、キャロルとシンディーに支えられて立っているのがやっとの状態になった。
聖女の浄化の力で洞窟内の瘴気は霧散し、どこよりも清浄な空気を作り出す。竜魔王を覆っていた瘴気の結界も消え去ってしまい、私達の魔力すら存在できなくなっている世界。
今回は、封印ではなく討伐。
ゲームでは、結界で力を削がれた状態で、聖女がこの力を使い封印して終わるのだけど。
今回私は、聖女であることを隠し、力を温存してきた。
聖女の血とこの聖女の最大の浄化魔法。
そして勇者と英雄の末裔。これだけそろわなければ、竜魔王と言われたドラゴンは討伐出来ない。
そして私が顔を上げた時、3人の剣士が竜魔王を倒すのが見えた。
目の前で、デイミアンが吹き飛ばされて、エミリーは、しゃがみ込んだまま叫んでいた。
私は思わずデイミアンの方に駆けよる。
小さくうめき声が聞こえるだけで、ぐったりしている。大きな外傷は無いけど呼吸がちゃんと出来ていない。どうしよう……今、ここで力を使ってしまったら。
「メグ、これを使って」
青いポーションをキャロルから渡された。だけど、キャロルたちのポーションは。
「クラークが投げてよこしたの」
クラークの方を見るとまた竜魔王の方に向かって行くところだった。
よく見ると、皆ケガをしている。私の防御結界を
私は、デイミアンの口の中にポーションの中身を流し込む。
デイミアンの身体に纏わりつくように光の粒子が舞ったかと思うと、身体から力が抜け呼吸も楽になったようだった。
エミリーの方を見るとへたり込んでがくがく震えている。
「やっ……。もうやだ」
ブツブツ口の中で何かを言っていた。
「エミリー様、こっちへ」
私は、また衝撃波が来たらいけないと思って、エミリーの方に行こうとした。
何とか、シンディーの結界の方に来てもらわなければ……。
「やだっ。助けて、クラークさまぁ~」
エミリーがパニックを起こして弾かれたように、クラークの……魔竜王の方に走り出してしまった。
「戻りなさい」
キャロルが叫ぶ。シンディーは、結界を維持しながら唖然としている。
「エミリー様」
私は、エミリーの後を追おうとしたけど、私の中から微かに『ダメ。止めないで』と声がして身体が動かなくなってしまった。
『光……ちゃん?』
『えみりを追っちゃダメ』
『どうして? まだ、あの距離なら間に合うわ』
『ダメ。この為にえみりを召喚させたんだから』
『光ちゃん? 何で』
『里美と間違えてじゃ無い。聖女の資格が少しでもあれば、初代聖女の血で出来たネックレスは着けられないの。だから、愛情を理解できないあの子を選んだのよ』
『なんでそんな事を』
『竜魔王を討伐して、解放するため。里美しかいなかったの、私が一緒に中に入れる魂は。だから、今世で決着を付けるために、ネックレスを着けられるえみりも召喚したの』
光ちゃんと会話している間にも、エミリーはクラーク達の方に走り寄って行っていた。
竜魔王と戦っている男性陣が信じられないと言った顔でエミリーを見る。
「お前っ、何やってんだ」
クラークが、エミリーの方に手を伸ばした直後に、竜魔王の前足の爪がエミリーに突き刺さった。
「ぎゃー! あ……あ」
爪が刺さったままエミリーの身体は振り上げられる。
エミリーの胸にあった、ネックレスの初代聖女の血で出来た宝石が砕けて、竜魔王に降りかかった。
ぐおおおお~!
竜魔王は苦しいのか、エミリーが突き刺さっている前足を振り回し、エミリーの身体が爪から抜け宙を舞い。私たちがいる方とは反対側の壁にブチ当たった。
エミリーの身体は、ずるずると壁を伝って落ちていき、もうピクリとも動かない。
『里美、全力で浄化の力使って。倒しましょう、竜魔王を』
私は色々言いたいことがあったけど、光ちゃんに従う事に決めた。
だって、これで竜魔王を倒せなかったら、エミリーは完全に無駄死にだ。
「クラーク、ハワード、ダグラス。私が力を使ったら、一斉に攻撃をして」
そう声を掛けて、私はこの時の為に温存していた力を一気に放出させる。
くらくらする。
私は、キャロルとシンディーに支えられて立っているのがやっとの状態になった。
聖女の浄化の力で洞窟内の瘴気は霧散し、どこよりも清浄な空気を作り出す。竜魔王を覆っていた瘴気の結界も消え去ってしまい、私達の魔力すら存在できなくなっている世界。
今回は、封印ではなく討伐。
ゲームでは、結界で力を削がれた状態で、聖女がこの力を使い封印して終わるのだけど。
今回私は、聖女であることを隠し、力を温存してきた。
聖女の血とこの聖女の最大の浄化魔法。
そして勇者と英雄の末裔。これだけそろわなければ、竜魔王と言われたドラゴンは討伐出来ない。
そして私が顔を上げた時、3人の剣士が竜魔王を倒すのが見えた。