第40話 冒険者様、お水のお買い上げありがとうございます(女性の話は脱線する)
文字数 2,374文字
そろそろ冒険者ギルドの受付嬢からにらまれだした。
情報統制に引っかかる話題を、ほぼ受付嬢の目の前でしているからね。ギルド長が出てきたら厄介だわ。
「え……と、私のお店に来ます? 私も訊きたいことあるし」
そう言って、受付嬢の方をチラッと見た。
冒険者の4人も私のその視線に気付く。
「ああ、そうだな。邪魔してもかまわないか?」
クラークは、私ではなくダグラスに許可を求めた。だから何で私を……って、もう良いか。
「メグが良いのなら、かまわないさ。こっちだ」
ダグラスは、私を連れて冒険者たちを促すように歩き出した。
ほどなく歩いてお店に着く。
冒険者の方々を店内に招き入れ、私はサッと奥に入り、クレアにお茶の用意と人払いを頼む。
「さぁ、奥へどうぞ」
食卓として使っているテーブルに、お茶とお茶菓子の用意がされていた。
…………応接室、造ろうかな。
冒険者達が、並んで座り、私は彼らの向かい側に座る。
ダグラスとクレアは私のすぐ後ろに立っていた。まだ仕事中だものね、2人とも。
「まず、あなた達の訊きたいことは、聖女様がソルムハイム王国ではなく、このアイストルスト王国で『女神さまの祝福』を受けたんじゃないかと言う事?」
「ああ。でもメグは知っているのか?」
クラークが、訊いてくる。
「聖女様については、この国で情報統制が敷かれているということくらいかな。あまり、その事について聞いて回っていたら王室から目を付けられるから、気を付けた方が良いですよ」
これで通じるだろうか。
「ああ、なるほどね。分かった、貴重な情報をありがとう」
クラークは何かを察したようににこやかになり、私にお礼を言う。
やっぱり、クラークには……他の3人もそうかもしれないけど……上位貴族間で行われている会話が通じる。暗にそ の 通 り だと言っていると。
「それで、メグが知りたい事は?」
実は私が知りたいことは、ギルド内で訊いてしまっていた。
私がここに連れて来たのは、彼らの身を案じて最低限でも情報を与える事だったから。
でも、そうね。わりとどうでも良いし推測もついている事だけど……。
「なんで、そんな出どころも分からないような噂が瞬く間に広がったのかなって」
「そりゃ簡単さ。面白いからだろう? 普段から娯楽に飢えているからな。噂がウソでも本当でも平民にはどうでも良いことだろうし。ルーブルシアと隣国のリーフランドくらいかな、深刻なのは」
なるほどねぇ。娯楽の範囲か……聖女様の話題は。
「後は、あれだな」
「あれ……って?」
「討伐依頼が出ているだろう? 冒険者は報酬はもとよりランクアップのチャンスだし、商人だって武器を売ろうと張り切っている。まぁ、そんな感じだ」
娯楽と商売……かぁ。それで、瞬く間に噂が広がった……と。
冒険者も商人も噂を流したのは他の地でも護衛に雇ってもらったり、武器を売りたいという思惑あっての事ね。
ウソでも『この地も危ない』なんていえば、武器も買うし、冒険者や傭兵を護衛に雇うだろう。
そうすれば、わざわざ危険な地に行かなくても稼げるものね。
「ありがとう、教えてくれて。情報料を支払うわ」
私は、クラークにそう言って身に着けているアイテムボックスから、あるものを取り出そうとした。
「いらねーよ。こっちも教えてもらったんだし」
「あら、私は何も教えてないわ。だからこれ」
私は、彼らの目の前にザラッという感じで、ポーションの小瓶を出した。
液体の色は赤と青。1人各2本ずつ、計16本。
この世界のポーションはそんなに値の張るものではない。
疲労回復とか軽い怪我を治す程度だからだ。骨が見えるような深手には、当たり前だが効かない。
「ポーション? こんな色のポーション、見たことがない」
「赤が魔力回復。青が身体の状態回復。ただ、身体の欠損は回復しないです」
魔力回復のポーションも普通の魔術師や魔法使いならフルで回復する程度。
「ちょっと、待って。そんなポーション聞いたこと無いわ」
キャロルが、言ってきた。当然の反応だ。
聖女の力に遠く及ばない、そんな程度のポーションでもこの世界には、存在しない。
「うちの紅茶を飲んで、どうでした?」
男性陣はまだ口を付けていない。でも、女性陣はお茶菓子と共に紅茶も飲んでいた。
「ポーション飲んだ時みたいに、身体がスーッと楽になった気がしてたわ」
シンディーが言ってきた。
「うん。うちの水で入れた紅茶だから。安全安心、味も良く。疲労回復や美容にも」
ここまで私が言ったところで、クレアが会話に割り込んできた。
「そうですわね。わたくしもここのお水で料理したものを頂いたり、紅茶を飲んだりして……」
そう言いながら、ここぞとばかりに、頬をさすり肌のきめ細やかさ、髪を触りその艶やかさをアピールする。
私の肌や髪が綺麗でも子どもはねぇ~で済むけど、クレアは20代半ば。
自分達より年上の女性の肌や髪が綺麗なのは…………。
「いくら? いくらで売ってくれるの? その水」
キャロルの目の色が変わってる。ちょっと怖い。
私は、お水でも普通に売っているポーション以上の効き目がある事のアピールで言ったのだけど……。
「2リットルが小銀貨一枚。10リットルで銀貨1枚。ボトルが各種銀貨1枚。ボトルは持ってきてくれさえすれば、次から無料で……」
「「買うわ」」
女性2人が、フンスッって感じになっている。まぁ、アイテムボックス持ってるみたいだし、持ち運べるだろう。
「お……お買い上げ、ありがとうございます」
って、何の話してたのだっけ。
情報統制に引っかかる話題を、ほぼ受付嬢の目の前でしているからね。ギルド長が出てきたら厄介だわ。
「え……と、私のお店に来ます? 私も訊きたいことあるし」
そう言って、受付嬢の方をチラッと見た。
冒険者の4人も私のその視線に気付く。
「ああ、そうだな。邪魔してもかまわないか?」
クラークは、私ではなくダグラスに許可を求めた。だから何で私を……って、もう良いか。
「メグが良いのなら、かまわないさ。こっちだ」
ダグラスは、私を連れて冒険者たちを促すように歩き出した。
ほどなく歩いてお店に着く。
冒険者の方々を店内に招き入れ、私はサッと奥に入り、クレアにお茶の用意と人払いを頼む。
「さぁ、奥へどうぞ」
食卓として使っているテーブルに、お茶とお茶菓子の用意がされていた。
…………応接室、造ろうかな。
冒険者達が、並んで座り、私は彼らの向かい側に座る。
ダグラスとクレアは私のすぐ後ろに立っていた。まだ仕事中だものね、2人とも。
「まず、あなた達の訊きたいことは、聖女様がソルムハイム王国ではなく、このアイストルスト王国で『女神さまの祝福』を受けたんじゃないかと言う事?」
「ああ。でもメグは知っているのか?」
クラークが、訊いてくる。
「聖女様については、この国で情報統制が敷かれているということくらいかな。あまり、その事について聞いて回っていたら王室から目を付けられるから、気を付けた方が良いですよ」
これで通じるだろうか。
「ああ、なるほどね。分かった、貴重な情報をありがとう」
クラークは何かを察したようににこやかになり、私にお礼を言う。
やっぱり、クラークには……他の3人もそうかもしれないけど……上位貴族間で行われている会話が通じる。暗に
「それで、メグが知りたい事は?」
実は私が知りたいことは、ギルド内で訊いてしまっていた。
私がここに連れて来たのは、彼らの身を案じて最低限でも情報を与える事だったから。
でも、そうね。わりとどうでも良いし推測もついている事だけど……。
「なんで、そんな出どころも分からないような噂が瞬く間に広がったのかなって」
「そりゃ簡単さ。面白いからだろう? 普段から娯楽に飢えているからな。噂がウソでも本当でも平民にはどうでも良いことだろうし。ルーブルシアと隣国のリーフランドくらいかな、深刻なのは」
なるほどねぇ。娯楽の範囲か……聖女様の話題は。
「後は、あれだな」
「あれ……って?」
「討伐依頼が出ているだろう? 冒険者は報酬はもとよりランクアップのチャンスだし、商人だって武器を売ろうと張り切っている。まぁ、そんな感じだ」
娯楽と商売……かぁ。それで、瞬く間に噂が広がった……と。
冒険者も商人も噂を流したのは他の地でも護衛に雇ってもらったり、武器を売りたいという思惑あっての事ね。
ウソでも『この地も危ない』なんていえば、武器も買うし、冒険者や傭兵を護衛に雇うだろう。
そうすれば、わざわざ危険な地に行かなくても稼げるものね。
「ありがとう、教えてくれて。情報料を支払うわ」
私は、クラークにそう言って身に着けているアイテムボックスから、あるものを取り出そうとした。
「いらねーよ。こっちも教えてもらったんだし」
「あら、私は何も教えてないわ。だからこれ」
私は、彼らの目の前にザラッという感じで、ポーションの小瓶を出した。
液体の色は赤と青。1人各2本ずつ、計16本。
この世界のポーションはそんなに値の張るものではない。
疲労回復とか軽い怪我を治す程度だからだ。骨が見えるような深手には、当たり前だが効かない。
「ポーション? こんな色のポーション、見たことがない」
「赤が魔力回復。青が身体の状態回復。ただ、身体の欠損は回復しないです」
魔力回復のポーションも普通の魔術師や魔法使いならフルで回復する程度。
「ちょっと、待って。そんなポーション聞いたこと無いわ」
キャロルが、言ってきた。当然の反応だ。
聖女の力に遠く及ばない、そんな程度のポーションでもこの世界には、存在しない。
「うちの紅茶を飲んで、どうでした?」
男性陣はまだ口を付けていない。でも、女性陣はお茶菓子と共に紅茶も飲んでいた。
「ポーション飲んだ時みたいに、身体がスーッと楽になった気がしてたわ」
シンディーが言ってきた。
「うん。うちの水で入れた紅茶だから。安全安心、味も良く。疲労回復や美容にも」
ここまで私が言ったところで、クレアが会話に割り込んできた。
「そうですわね。わたくしもここのお水で料理したものを頂いたり、紅茶を飲んだりして……」
そう言いながら、ここぞとばかりに、頬をさすり肌のきめ細やかさ、髪を触りその艶やかさをアピールする。
私の肌や髪が綺麗でも子どもはねぇ~で済むけど、クレアは20代半ば。
自分達より年上の女性の肌や髪が綺麗なのは…………。
「いくら? いくらで売ってくれるの? その水」
キャロルの目の色が変わってる。ちょっと怖い。
私は、お水でも普通に売っているポーション以上の効き目がある事のアピールで言ったのだけど……。
「2リットルが小銀貨一枚。10リットルで銀貨1枚。ボトルが各種銀貨1枚。ボトルは持ってきてくれさえすれば、次から無料で……」
「「買うわ」」
女性2人が、フンスッって感じになっている。まぁ、アイテムボックス持ってるみたいだし、持ち運べるだろう。
「お……お買い上げ、ありがとうございます」
って、何の話してたのだっけ。