第7話 国外追放 これって、エミリーの身代わりだよね。

文字数 832文字

 先日、聖女エミリーが各国の王妃たちのご不興をかってしまったのを、王室はすべて私のせいにしたらしい。
 もう私や、父を王宮に呼びつけることなく、書面で通告してきた。
『聖女様をいじめ、貶めた罪により、国外追放を命ずる』と。
 王妃が、アイテムボックスを渡してきたのは、こうなるだろうことを見越しての事だったのかと、納得した。

 各国への申し開きのため、『王太子殿下の元婚約者は身分はく奪の上、国外追放を命じた』という書簡を送ったとも聞いていた。
 名前を書かない事で、エミリーを追放したと思わせたかったのかもしれない。

 国外追放を受けたものは、すぐにでも国外へ出ないといけないらしい。
 私は、王妃様から頂いた平民が着ているようなワンピースに着替えた。
 歩かないといけないので、靴も前世でいうローファーみたいな物に履き替える。
 いつもきれいに上げてセットしている髪は、前世で言うオカッパ頭になるよう肩のところでバッサリ切ってもらった。
 湯あみが出来ない以上、髪の毛は短い方が良い。
 お化粧も同じ理由でしなかったのだけど、鏡の中の私は背が低くなんだか幼い感じがした。


 愛情が薄いと思っていた家族は、それでも見送ってくれた。
 母は、自分が嫁いでくるときに身に着けていた指輪を、何かあった時の為にと渡してくれていた。

「今までお世話になりました」
 私は不安でいっぱいだったけど、それでも家族と笑って別れようと、精一杯の笑顔で挨拶をした。泣くのは、馬車が動き出してからでいい。そう思って、馬車に乗り込んだ。

「おい。一人くらいだったら、お供をしてもかまわないんだったな」
 馬車のそばにいる王宮の役人に確認をとっている男性がいる。
 少し大きな袋を肩にかけ、腰には剣を差していた。

「それは、かまいませんが、ゲートスケル伯爵。付いて行くというのなら、あなた様も爵位をはく奪されますが」
「かまわん」
 そう言って、私の横に乗り込んできていた。
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