第67話 竜魔王との対峙 お……思ってたより大きいわね
文字数 2,178文字
ダグラス達には、エミリーと一緒に壁際に寄ってもらっている。
もう少し竜魔王が奥にいてくれたら余裕でペンダントの結界を外れることが出来るのに、たかが10メートルがとても長く感じるわ。
私は足を踏み出した。
大丈夫、クラークは助けられない時は自分たちの目的を優先すると言った。ダグラスも1度きりのこのチャンス邪魔はしないわ。
歩きながら大丈夫だと自分を鼓舞する。
日本での戦時中、空襲の中私は何度死を覚悟したことだろう。私1人ならもういいやと思って死んでたかもしれない。
あの地獄を、私は大切な人を守り、私を大切だと思ってくれる人から守られながら生き延びた。
だから……。
だから、私は大丈夫。
ペンダントの結界から外れた。魔竜王がピクッと反応する。
エミリーも私の結界から外れたという事だから、進む方向に気を付けないといけない。
あっちに戦力が固まっているから、こちらを追ってくるとは思うけど……。
エミリーたちが、私の真後ろから外れるように少し横に歩く。そして、また前に足を踏み出した途端、ものすごい雄たけびが……。何と言うのだろう、波動? 身体がびりびりする。
だけどまだ動けない、こっちの結界に自ら入って来てもらわなければ……結界を広げた途端逃げられてしまう。
私は、よろけた振りをして斜め後ろを向いてしゃがんだ。いつでも走れるように、孫たちが言ってた両手を付いたところから走る何たらスタート※のポーズをしているのだけど。
竜魔王が、私の方にゆっくりとやって来る。見てないけど振動が伝わってくるから、移動してきているのだと思う。
結界が揺らいだのが分かった。
かかった。竜魔王が、結界の中に。
私は結界を洞窟全体に広げ……顔を上げたら竜魔王が目の前に。
やばっ、10メートルって、近すぎ。
私は思わず、竜魔王に向かって走り足元を回ってみんなの方に走る。
まさか、弱そうな女の子が自分の方に向かって走り出すとは思わなかったのだろう、その間竜魔王の動きが止まってくれた。
すぐに、追ってきたけど、私は無事ネックレスの結界に入れた。エミリーまで後、10メートル。
私は、エミリーの首にかかっている。ネックレスを掴む。
「ちょっと、何してんのよ。離しなさいよ」
私の顔や頭をエミリーがバシバシ叩いて、私を除けようとしてくる。だけど、これを離すわけにはいかないから。
「キャーッ!」
エミリーの悲鳴と同時に、竜魔王がネックレスの結界に入ったのが分かった。
「キャロル」
私は大声で叫ぶのと同時に、ネックレスの結界を拡大した。
キャロルの攻撃魔法が炸裂する。3連発。
竜魔王は、二重結界内洞窟の端まで吹っ飛んだ。
それと同時に、ハワード、クラーク、ダグラスが竜魔王目掛けて飛び出す。
シンディーが私たちの前に結界を張った。
私がネックレスから手を離すと、エミリーは私から逃げていくように離れてしまった。
さっき竜魔王が接近してきたのが余程怖かったのだろう。ギャーギャー何か文句言ってるけど、デイミアンが守るようにそばへ行ったので、エミリーの文句は無視した。
「キャロル。すごい」
「ありがと。でも、私の力はこれでお終い」
キャロルは座り込み、私があげた赤のポーションの空瓶を2本見せながら言った。
そっか、自分の力と魔力回復のポーションで限界まで力を使ったんだ。
「メグだって頑張ったんだし、後は男どもに頑張ってもらわなきゃ」
キャロルは、男たちの戦いを見ながらそう言っていた。
「今ポーションは各自持っているの?」
「ううん。ハワードとクラークの赤いポーションはシンディーが持ってるわ。結界張り続けないといけないし、回復ポーション無くなったら結局はシンディー頼みになるから」
なるほど、なるほど。
「後は逆に私たちの回復ポーションは、あの2人にあげているわ」
「よく考えているわね」
そう私が感心していると、キャロルが言う。
「私たちはその為に産まれて、ずっと過去の戦いの情報を元にシミュレーションしてきたから」
「そう……なの」
前世の私の記憶だけだったら納得がいかなかったかもしれない。自分の意志とは関係なく戦うためだけに生きるなんて。
でも、王族貴族の在り方なんてそんなものだと、マーガレットはわかっていた。
目の前の戦いとは別世界のように、私達はのんびりしているように見えるけど、キャロルは魔力の回復中だし、シンディーは結界を張り続けるため、2本目の赤いポーションを飲んでいる。
対物理攻撃用の結界って、効率悪いわね。
私も、結界を二つ広げる時に力使ったから、これ以上は使えない。一度張ったら、魔力を使わない自動維持だから便利だけど。
「シンディー!」
クラークが叫んだと同時にシンディーは目の前の結界を強化した。
だけど、わずかに結界を外れてしまっていたエミリーの方に竜魔王の衝撃波がいってしまった。
「エミリー様」
自分の身体を盾にしてエミリーを庇ったデイミアンは、その衝撃で身体が宙を舞い。
地面に叩きつけられていた。
※クラウチングスタート(crouch start(クロウチスタート)英語)
もう少し竜魔王が奥にいてくれたら余裕でペンダントの結界を外れることが出来るのに、たかが10メートルがとても長く感じるわ。
私は足を踏み出した。
大丈夫、クラークは助けられない時は自分たちの目的を優先すると言った。ダグラスも1度きりのこのチャンス邪魔はしないわ。
歩きながら大丈夫だと自分を鼓舞する。
日本での戦時中、空襲の中私は何度死を覚悟したことだろう。私1人ならもういいやと思って死んでたかもしれない。
あの地獄を、私は大切な人を守り、私を大切だと思ってくれる人から守られながら生き延びた。
だから……。
だから、私は大丈夫。
ペンダントの結界から外れた。魔竜王がピクッと反応する。
エミリーも私の結界から外れたという事だから、進む方向に気を付けないといけない。
あっちに戦力が固まっているから、こちらを追ってくるとは思うけど……。
エミリーたちが、私の真後ろから外れるように少し横に歩く。そして、また前に足を踏み出した途端、ものすごい雄たけびが……。何と言うのだろう、波動? 身体がびりびりする。
だけどまだ動けない、こっちの結界に自ら入って来てもらわなければ……結界を広げた途端逃げられてしまう。
私は、よろけた振りをして斜め後ろを向いてしゃがんだ。いつでも走れるように、孫たちが言ってた両手を付いたところから走る何たらスタート※のポーズをしているのだけど。
竜魔王が、私の方にゆっくりとやって来る。見てないけど振動が伝わってくるから、移動してきているのだと思う。
結界が揺らいだのが分かった。
かかった。竜魔王が、結界の中に。
私は結界を洞窟全体に広げ……顔を上げたら竜魔王が目の前に。
やばっ、10メートルって、近すぎ。
私は思わず、竜魔王に向かって走り足元を回ってみんなの方に走る。
まさか、弱そうな女の子が自分の方に向かって走り出すとは思わなかったのだろう、その間竜魔王の動きが止まってくれた。
すぐに、追ってきたけど、私は無事ネックレスの結界に入れた。エミリーまで後、10メートル。
私は、エミリーの首にかかっている。ネックレスを掴む。
「ちょっと、何してんのよ。離しなさいよ」
私の顔や頭をエミリーがバシバシ叩いて、私を除けようとしてくる。だけど、これを離すわけにはいかないから。
「キャーッ!」
エミリーの悲鳴と同時に、竜魔王がネックレスの結界に入ったのが分かった。
「キャロル」
私は大声で叫ぶのと同時に、ネックレスの結界を拡大した。
キャロルの攻撃魔法が炸裂する。3連発。
竜魔王は、二重結界内洞窟の端まで吹っ飛んだ。
それと同時に、ハワード、クラーク、ダグラスが竜魔王目掛けて飛び出す。
シンディーが私たちの前に結界を張った。
私がネックレスから手を離すと、エミリーは私から逃げていくように離れてしまった。
さっき竜魔王が接近してきたのが余程怖かったのだろう。ギャーギャー何か文句言ってるけど、デイミアンが守るようにそばへ行ったので、エミリーの文句は無視した。
「キャロル。すごい」
「ありがと。でも、私の力はこれでお終い」
キャロルは座り込み、私があげた赤のポーションの空瓶を2本見せながら言った。
そっか、自分の力と魔力回復のポーションで限界まで力を使ったんだ。
「メグだって頑張ったんだし、後は男どもに頑張ってもらわなきゃ」
キャロルは、男たちの戦いを見ながらそう言っていた。
「今ポーションは各自持っているの?」
「ううん。ハワードとクラークの赤いポーションはシンディーが持ってるわ。結界張り続けないといけないし、回復ポーション無くなったら結局はシンディー頼みになるから」
なるほど、なるほど。
「後は逆に私たちの回復ポーションは、あの2人にあげているわ」
「よく考えているわね」
そう私が感心していると、キャロルが言う。
「私たちはその為に産まれて、ずっと過去の戦いの情報を元にシミュレーションしてきたから」
「そう……なの」
前世の私の記憶だけだったら納得がいかなかったかもしれない。自分の意志とは関係なく戦うためだけに生きるなんて。
でも、王族貴族の在り方なんてそんなものだと、マーガレットはわかっていた。
目の前の戦いとは別世界のように、私達はのんびりしているように見えるけど、キャロルは魔力の回復中だし、シンディーは結界を張り続けるため、2本目の赤いポーションを飲んでいる。
対物理攻撃用の結界って、効率悪いわね。
私も、結界を二つ広げる時に力使ったから、これ以上は使えない。一度張ったら、魔力を使わない自動維持だから便利だけど。
「シンディー!」
クラークが叫んだと同時にシンディーは目の前の結界を強化した。
だけど、わずかに結界を外れてしまっていたエミリーの方に竜魔王の衝撃波がいってしまった。
「エミリー様」
自分の身体を盾にしてエミリーを庇ったデイミアンは、その衝撃で身体が宙を舞い。
地面に叩きつけられていた。
※クラウチングスタート(crouch start(クロウチスタート)英語)