第48話 かの国の軍属、冒険者たちとの再会
文字数 1,457文字
ランラドフが戻って来てから、小隊に指示を出している。事細かに指示を出しているのは、にわかに組んだ小隊だからだ。
新人や使えない者は外し、魔力が使える者を中心に……雑務で連れて来た兵士以外はほぼ伯爵位以上の貴族騎士。本来なら各隊の隊長を務めているはずの騎士も隊員として入っている。
小隊としては、というか小隊でなくとも無茶苦茶な編成だ。
だけど、この国の王太子が軟禁されている今、第二王子やその派閥の貴族を相手にするときに身分を理由に好き勝手されないための対策なのだそうだ。
今回、第二王子派を油断させるために、ウイリアムは自室で大人しくしている。
時々、監視の中でランラドフが戦況報告をしがてら、次の作戦を立てるために訪問する程度に留めていた。まだ、ウイリアムは自由に動けないと第二王子派に思ってもらわなくては困る。
そういう話を、かいつまんでランラドフは、私たちに教えてくれた。
「そういう訳で、僕はこちらの王宮にいる事が多くなるから……。ごめんね、本当ならメグちゃんから離れずに、ずっと守っていたかったのだけど」
「私は大丈夫です。ランラドフ様はご自分のお仕事をなさってください」
ランラドフは私のその言葉を聞いてニッコリ笑ってくれたけど、ダグラスには厳しい視線を向けて言う。
「頼んだぞ、ダグラス」
ダグラスは、その言葉を受けやっぱり厳しい顔で頷いた。
私は、朝から瘴気を浄化してまわっている。少しずつ瘴気が濃くなっているようで、初日のように一気に浄化することは出来なくなっていた。
傷ついた人には癒しも施している。
聖女を召喚できるくらい清浄な地であるルーブルシア王国には、ほとんど魔力を使える人間がいない。魔物が瘴気から産まれるように、魔力の元も瘴気だからだ。
だから、普通のヒールは他国の支援系魔術師や魔法使いなら使えるし、簡単な治療なら冒険者ギルドで売っているポーションで充分だ。
なので私がヒールを使っても誰も驚かない。感謝はされるけど。
私が仕事をしている最中 いきなり声を掛けられた。
「おう。メグじゃねえか」
「クラークさん。みなさんも、魔物討伐に参加してたんですね」
振り返ると、クラークをはじめ、あの時いたハワード、キャロル、シンディーがいた。
「メグは、軍属か」
「ええ。まぁ、今回はそんなところです」
私はあいまいに返事をした。
「ふ~ん。俺ら、王宮に呼ばれたんだけど、何か情報持ってないか」
クラークは、私の横に寄ってきて小声で言ってくる。
そばにいたダグラスが嫌な顔をした。
「あなた方がどういう立場の人間かもわからないのに渡せる情報なんてありません」
私もぷいっという感じでそっぽを向いた。
「なるほど、違いない。国名は言えないが俺らも軍属。大国二国が戦争をおっぱじめちまったら、真っ先に巻き込まれる国って言ったらわかるか?」
あ~、確かにあの二国に挟まれた国があるわね。リーゼモルツ王国と言う国が。
「王 弟 殿 下 の許可が無いと何も言えないわ」
私が、彼らに渡せる情報はこれで精一杯。彼らは、一瞬驚愕の表情になったけど、すぐに立て直す。
「それで充分だ」
そう言って彼らは王宮に向かって行った。
ああいう言い方した私も私だけど……それで理解してしまうクラークは、もう王族か王族に近い貴族だよね。
私は、王宮に向かう彼らの背中を見送りながらそんな事を考えるのだった。
新人や使えない者は外し、魔力が使える者を中心に……雑務で連れて来た兵士以外はほぼ伯爵位以上の貴族騎士。本来なら各隊の隊長を務めているはずの騎士も隊員として入っている。
小隊としては、というか小隊でなくとも無茶苦茶な編成だ。
だけど、この国の王太子が軟禁されている今、第二王子やその派閥の貴族を相手にするときに身分を理由に好き勝手されないための対策なのだそうだ。
今回、第二王子派を油断させるために、ウイリアムは自室で大人しくしている。
時々、監視の中でランラドフが戦況報告をしがてら、次の作戦を立てるために訪問する程度に留めていた。まだ、ウイリアムは自由に動けないと第二王子派に思ってもらわなくては困る。
そういう話を、かいつまんでランラドフは、私たちに教えてくれた。
「そういう訳で、僕はこちらの王宮にいる事が多くなるから……。ごめんね、本当ならメグちゃんから離れずに、ずっと守っていたかったのだけど」
「私は大丈夫です。ランラドフ様はご自分のお仕事をなさってください」
ランラドフは私のその言葉を聞いてニッコリ笑ってくれたけど、ダグラスには厳しい視線を向けて言う。
「頼んだぞ、ダグラス」
ダグラスは、その言葉を受けやっぱり厳しい顔で頷いた。
私は、朝から瘴気を浄化してまわっている。少しずつ瘴気が濃くなっているようで、初日のように一気に浄化することは出来なくなっていた。
傷ついた人には癒しも施している。
聖女を召喚できるくらい清浄な地であるルーブルシア王国には、ほとんど魔力を使える人間がいない。魔物が瘴気から産まれるように、魔力の元も瘴気だからだ。
だから、普通のヒールは他国の支援系魔術師や魔法使いなら使えるし、簡単な治療なら冒険者ギルドで売っているポーションで充分だ。
なので私がヒールを使っても誰も驚かない。感謝はされるけど。
私が仕事をしている
「おう。メグじゃねえか」
「クラークさん。みなさんも、魔物討伐に参加してたんですね」
振り返ると、クラークをはじめ、あの時いたハワード、キャロル、シンディーがいた。
「メグは、軍属か」
「ええ。まぁ、今回はそんなところです」
私はあいまいに返事をした。
「ふ~ん。俺ら、王宮に呼ばれたんだけど、何か情報持ってないか」
クラークは、私の横に寄ってきて小声で言ってくる。
そばにいたダグラスが嫌な顔をした。
「あなた方がどういう立場の人間かもわからないのに渡せる情報なんてありません」
私もぷいっという感じでそっぽを向いた。
「なるほど、違いない。国名は言えないが俺らも軍属。大国二国が戦争をおっぱじめちまったら、真っ先に巻き込まれる国って言ったらわかるか?」
あ~、確かにあの二国に挟まれた国があるわね。リーゼモルツ王国と言う国が。
「
私が、彼らに渡せる情報はこれで精一杯。彼らは、一瞬驚愕の表情になったけど、すぐに立て直す。
「それで充分だ」
そう言って彼らは王宮に向かって行った。
ああいう言い方した私も私だけど……それで理解してしまうクラークは、もう王族か王族に近い貴族だよね。
私は、王宮に向かう彼らの背中を見送りながらそんな事を考えるのだった。