第21話 ルーブルシア王国側 聖女様、『女神様の祝福を得る儀式』の準備

文字数 1,313文字

 無事各国を招いての会議を終え、マーガレットを追放して1か月以上が過ぎていた。

 ルーブルシア王国の王室と教会は、大聖堂での聖女様による『女神様の祝福を得る儀式』の準備や聖女様の(みそぎ)のお世話にと、忙しい日々を過ごしている。

 女神様と言っても、形は無く。まばゆいほどの光と金粉が聖女様の頭上から降り注ぎ、お声が聞こえるというもの。
 そのお声が優しく女性の声に聞こえるので、いにしえの昔より女神様と呼ばれていた。

『その光と声は全世界を駆け巡り、聖女様が召喚され女神の祝福を得たということを示す』
 そのように、神殿に奉納されている石碑に彫られてあるのだった。




「やれやれ、そこまで仰々(ぎょうぎょう)しくやるものかね」
 そう言ったのは、大聖堂の準備の様子を見学しに来ているルーブルシア王国の第二王子デリックだった。

「殿下。そのような事を誰かに聞かれでもしたら……」
 そう殿下に囁くのは、側近のデイミアン伯爵だ。
「別に構わないさ。あのバカ女が聖女だと、まだ決まったわけでもあるまいし」

「不敬罪に問おうか?」
 いつの間にか、ウイリアムがそばまで来ていた。
「どうぞ。君が王妃の第一子を不敬罪に問えるものならね」
「国王の第一子は私だ」
 しれっとしてデリックが流しているのに対し、ウイリアムの方は憮然とした感じで言っている。

「大変だねぇ。側妃……それも子爵家の令嬢で王宮侍女だった女性を母親に持つと……。国王陛下も酷な事をするよね。捨て置いた方が親切だったろうに」
 デリックは含み笑いをしながら、ウイリアムに言ってくる。
「まっ。せいぜい頑張って」
 ウイリアムの反応には、最初から興味は無い。デリックは側近たちを連れてさっさと大聖堂から出て行ってしまった。
 
 ウイリアムは、上位貴族の間では、認められていない王太子だ。
 国王陛下が、まだウイリアムの母親に執着しているから、誰も何も言わないだけの存在。
 それを今回、数少ない味方だったレヴァイン公爵家を敵に回してまで、聖女様を婚約者にと願ったのは、自分の地位を確かなものにするためだった。

 
 
 数日後、儀式を行うと予定されている日までに滞りなく準備が整った。
 大聖堂には大勢の神官と巫女、王族貴族が集まり、儀式が始まるのを(おごそ)かに待つ。
 下位貴族や平民は外で見守っているが、文献によると世界中どこにいても、光とお声はわかるらしい。そう言う事なので、ルーブルシア王国中の人間は固唾(かたず)を飲んで見守っていた。


 大聖堂に(みそぎ)が済んだ聖女様が、巫女様や神官様に囲まれて入っていく。
 ギリシャ神話に出てくる女性のような薄い(ころも)(まと)っているので、人の目に触れぬように巫女様たちが囲んでいた。

 中央の少し高いところに魔法陣のようなものが描かれている。
 大神官様から、そちらに跪いてお祈りをするようにうながされた。
 エミリーは、聖女としてその真ん中まで行き跪いて祈るポーズをする。

 形だけで良いと言われていたので、その通りにしてエミリーは女神様を待っていた。
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