第18話 新しい生活拠点
文字数 1,655文字
女王陛下のお茶会が終わり、王族専用のスペースを抜けると文官……いわゆる、王宮の役人の方が1人、私たちを待ち構えていた。
「メグ様の住居にご案内させて頂きます」
そう言って、私たちに礼を執る。
そして、王族がお忍びで使うのだろうか、辻馬車よりはちょっと高級といったところの馬車に乗せられた。
王宮に近い、平民でも上流階級の方々が利用するお店が立ち並ぶ、その中でも一等地と言わざるを得ない、店舗兼住居になっている3階建ての建物に案内された。
私は、商売をしたいと女王陛下にお願いしただろうか?
完全に私の心の中を読んだような、住居に驚きを隠せない。
「今日からこちらをお使いください」
そう言って案内してくれた役人が店舗の方から中へ入っていく。
何もないけど店内には棚があり少し休憩したり商談が出来そうなテーブルも置いてあった。
奥にはカウンターがあって、その奥にも棚がある。
なんだか、前世の個人がしている薬屋さんのような造りになっていた。薬の知識なんか無いから、薬屋は出来ないけど……。
カウンターの棚の横には扉があり、そこから先は居住 スペースになっている。
2階と3階はすべて居住 スペースの様だった。
私たちは、とりあえず居住 スペースを見てまわる。
お店はともかく、すぐに生活できるように整えなければどうしようもない。
キッチンはすぐにでも使えるように物が全て揃っている。
他もそうだ。クローゼットにも服が揃えてあった。服の好みが合えばこのまま生活が出来る。
キッチンに戻って来て食材の確認をしていた私は、案内してくれた役人に気になる事を訊いてみた。
「この国には、魔法を使える方がいらっしゃるのですか?」
「ええ。冒険者ギルドに登録されている方々の中にはこの国を拠点にしてる者も多いので」
私の突然の質問にも、平然と答えてくれている。
「何か、気になる事でもあったのか?」
ダグラスが、私の後ろから覗き込むようにして訊いてきた。
「ええ。食材が傷まないように、保存系の魔法が施されていたので……。これなら、今からでも料理が作れるわ」
「え? メグ様が作るのですか? すぐに使用人が参りますが」
「一応、作れるのよ」
前世でも賄いの女性たちに指示を出しながら作っていたから。
この世界……で、なくても前世の世界でも昔の貴族は作れなかったでしょうけどね。
だから、役人の驚きはよくわかる。
「使用人なんて、ぜいたくだわ」
「平民の身分でも、使用人を使っている家庭は多くあります。それに……」
「保護と監視を兼ねて……だな」
ダグラスが、平然と言う。まるで分っていたことの様に。
なるほど、王宮の使 用 人 なわけね。
「監視だなんて……とんでもない」
役人は慌てて言った。
「わかったわ。家事や店の雑用、人手は多いのに越したことはないものね」
「ありがとうございます。私もそのうちの一人です。何なりと、御用をお申しつけください」
貴族の礼を完ぺきに執る平民の使用人……ねぇ。
「では、あなたを含め。後から来る方々に、伝えて頂けます?」
「はい。何をどのように、でございましょう」
「まずは、街を見てまわって、平民がどのような言動をしているのか覚えてきてちょうだい」
役人が、きょとんとしている。
「上流階級とはいえ、どこの国の平民が王宮でも通じる所作をして、完ぺきな礼を執れるというのです。それが出来るようになるまで、ここで働くことは許しません」
私は、ピシッと言った。前世で使用人を叱っていた時の様に。
「か……かしこまりました」
幼い容姿の女性から叱られるとは思っていなかったようで、慌てて役人は家を飛び出していった。
何がおかしいのか、後ろではダグラスが噴き出してヒーヒー言いながら笑っている。
…………もう、いっそ笑い死んでしまえ。
「メグ様の住居にご案内させて頂きます」
そう言って、私たちに礼を執る。
そして、王族がお忍びで使うのだろうか、辻馬車よりはちょっと高級といったところの馬車に乗せられた。
王宮に近い、平民でも上流階級の方々が利用するお店が立ち並ぶ、その中でも一等地と言わざるを得ない、店舗兼住居になっている3階建ての建物に案内された。
私は、商売をしたいと女王陛下にお願いしただろうか?
完全に私の心の中を読んだような、住居に驚きを隠せない。
「今日からこちらをお使いください」
そう言って案内してくれた役人が店舗の方から中へ入っていく。
何もないけど店内には棚があり少し休憩したり商談が出来そうなテーブルも置いてあった。
奥にはカウンターがあって、その奥にも棚がある。
なんだか、前世の個人がしている薬屋さんのような造りになっていた。薬の知識なんか無いから、薬屋は出来ないけど……。
カウンターの棚の横には扉があり、そこから先は
2階と3階はすべて
私たちは、とりあえず
お店はともかく、すぐに生活できるように整えなければどうしようもない。
キッチンはすぐにでも使えるように物が全て揃っている。
他もそうだ。クローゼットにも服が揃えてあった。服の好みが合えばこのまま生活が出来る。
キッチンに戻って来て食材の確認をしていた私は、案内してくれた役人に気になる事を訊いてみた。
「この国には、魔法を使える方がいらっしゃるのですか?」
「ええ。冒険者ギルドに登録されている方々の中にはこの国を拠点にしてる者も多いので」
私の突然の質問にも、平然と答えてくれている。
「何か、気になる事でもあったのか?」
ダグラスが、私の後ろから覗き込むようにして訊いてきた。
「ええ。食材が傷まないように、保存系の魔法が施されていたので……。これなら、今からでも料理が作れるわ」
「え? メグ様が作るのですか? すぐに使用人が参りますが」
「一応、作れるのよ」
前世でも賄いの女性たちに指示を出しながら作っていたから。
この世界……で、なくても前世の世界でも昔の貴族は作れなかったでしょうけどね。
だから、役人の驚きはよくわかる。
「使用人なんて、ぜいたくだわ」
「平民の身分でも、使用人を使っている家庭は多くあります。それに……」
「保護と監視を兼ねて……だな」
ダグラスが、平然と言う。まるで分っていたことの様に。
なるほど、王宮の
「監視だなんて……とんでもない」
役人は慌てて言った。
「わかったわ。家事や店の雑用、人手は多いのに越したことはないものね」
「ありがとうございます。私もそのうちの一人です。何なりと、御用をお申しつけください」
貴族の礼を完ぺきに執る平民の使用人……ねぇ。
「では、あなたを含め。後から来る方々に、伝えて頂けます?」
「はい。何をどのように、でございましょう」
「まずは、街を見てまわって、平民がどのような言動をしているのか覚えてきてちょうだい」
役人が、きょとんとしている。
「上流階級とはいえ、どこの国の平民が王宮でも通じる所作をして、完ぺきな礼を執れるというのです。それが出来るようになるまで、ここで働くことは許しません」
私は、ピシッと言った。前世で使用人を叱っていた時の様に。
「か……かしこまりました」
幼い容姿の女性から叱られるとは思っていなかったようで、慌てて役人は家を飛び出していった。
何がおかしいのか、後ろではダグラスが噴き出してヒーヒー言いながら笑っている。
…………もう、いっそ笑い死んでしまえ。