第63話 冒険者達と合流したものの……
文字数 1,475文字
しばらく走ると、瘴気の中にドーム状に光っている場所が見えてきた。
私たち同様、中に魔物が入り込んできていて戦っている様子が見える。
「ダグラス」
「わかっている」
私が、彼らと合流しようと言う前にダグラスからの返事がきた。
冒険者達の周りに張ってある結界の中に、私達は滑り込むように入った。
戦っていたのは、ハワードとクラーク。女性2人は、庇われている感じになっている。
考えることは、皆同じって事ね。魔竜王に会うまでは、魔力は使えない。
エミリーの護衛で付いてきている騎士も戦ってはいるけど、エミリーが怯えているのかしゃがみ込んでしまったので、その場所で魔物を追い払うのに専念している。
私はダグラスの肩から降ろしてもらって、冒険者の女性キャロルとシンディーのそばに寄り添った。
「今、どういう状況なの?」
私がそう訊くと、キャロルが怒ったように言う。
「どうもこうも、見ての通りよ。こんなところ、駆け抜けるしかないのに、あそこの聖女様が喚 いてしゃがみ込むから」
「瘴気を払うネックレスさえ持ってなければ、あんな奴捨てて行ったのに」
シンディーは、物騒な事をブチブチと言っているけど……気持ちはわからないでもないわ。
私の結界とネックレスの結界と、結界が二重になったことで新たな魔物は入って来ていない。だけど、こんな狭い結界内で戦ってたらいずれ力尽きてしまうわ。
「なんであんたがここにいるのよ。勝手に牢から出てきたの?」
エミリーが私に気付いたようで、しゃがんだまま叫んでいる。彼女が叫んだせいで、魔物がさらに寄って来た。
私は、エミリーの方に向かって行き。
胸倉をつかんで立ち上がらせ。その頬を引っ叩いた。
「いい加減になさい。この状況が分からないのですか」
怒鳴りたいところだけど、そうすれば魔物が寄って来るので小声で言う。
「殴ったわね。あんたなんか、帰ったら処刑してやるわ」
そう叫んでいるエミリーを離し、護衛している騎士を見る。
……デイミアン伯爵。デリック殿下の側近だわ。
私の言う事を、聞いてくれるかしら。
「デイミアン伯爵。エミリー様を担いで走れますか?」
デイミアンは、驚いたように私を見た。そして、真剣な顔になり頷く。
「御免」
デイミアンはエミリーを担ぎ上げる。
エミリーの悲鳴があたりに響き渡り、デイミアンの肩の上で大暴れしていた。
「ここに置き去りにされたくなかったら、大人しくしなさい」
そう言って、私はダグラス達の方に走っていく。
「こんなところ早く走り抜けましょう」
私もダグラスに担ぎ上げられた。喚きたい気持ちも分かるんだけどね、お腹苦しいし。
身軽な剣士二人が先陣を切って走り、エミリーと私を担いだデイミアンとダグラスが真ん中、魔力を持っている女性2人がしんがりに付いて走っている。
私たちが真ん中なのは、単に瘴気を払う……というか、結界の都合。
ネックレスと私の自然に作られている結界が強くなり、お互い先ほどよりはマシな状態になっている。
そうして森を抜けたと思ったところに、おどろおどろしい光景が広がっていた。
何と言ったらいいのだろう、まだ日は高いはずなのに仄暗 い。
乾ききった岩の様になってしまった地面は割れ目が出来、ところどころ天に向かって突き立てるように岩がそそり立っている。
その向こうに、大きな洞窟がありそこから今までよりもさらに濃い瘴気が流れ出ているのが見えていた。
私たち同様、中に魔物が入り込んできていて戦っている様子が見える。
「ダグラス」
「わかっている」
私が、彼らと合流しようと言う前にダグラスからの返事がきた。
冒険者達の周りに張ってある結界の中に、私達は滑り込むように入った。
戦っていたのは、ハワードとクラーク。女性2人は、庇われている感じになっている。
考えることは、皆同じって事ね。魔竜王に会うまでは、魔力は使えない。
エミリーの護衛で付いてきている騎士も戦ってはいるけど、エミリーが怯えているのかしゃがみ込んでしまったので、その場所で魔物を追い払うのに専念している。
私はダグラスの肩から降ろしてもらって、冒険者の女性キャロルとシンディーのそばに寄り添った。
「今、どういう状況なの?」
私がそう訊くと、キャロルが怒ったように言う。
「どうもこうも、見ての通りよ。こんなところ、駆け抜けるしかないのに、あそこの聖女様が
「瘴気を払うネックレスさえ持ってなければ、あんな奴捨てて行ったのに」
シンディーは、物騒な事をブチブチと言っているけど……気持ちはわからないでもないわ。
私の結界とネックレスの結界と、結界が二重になったことで新たな魔物は入って来ていない。だけど、こんな狭い結界内で戦ってたらいずれ力尽きてしまうわ。
「なんであんたがここにいるのよ。勝手に牢から出てきたの?」
エミリーが私に気付いたようで、しゃがんだまま叫んでいる。彼女が叫んだせいで、魔物がさらに寄って来た。
私は、エミリーの方に向かって行き。
胸倉をつかんで立ち上がらせ。その頬を引っ叩いた。
「いい加減になさい。この状況が分からないのですか」
怒鳴りたいところだけど、そうすれば魔物が寄って来るので小声で言う。
「殴ったわね。あんたなんか、帰ったら処刑してやるわ」
そう叫んでいるエミリーを離し、護衛している騎士を見る。
……デイミアン伯爵。デリック殿下の側近だわ。
私の言う事を、聞いてくれるかしら。
「デイミアン伯爵。エミリー様を担いで走れますか?」
デイミアンは、驚いたように私を見た。そして、真剣な顔になり頷く。
「御免」
デイミアンはエミリーを担ぎ上げる。
エミリーの悲鳴があたりに響き渡り、デイミアンの肩の上で大暴れしていた。
「ここに置き去りにされたくなかったら、大人しくしなさい」
そう言って、私はダグラス達の方に走っていく。
「こんなところ早く走り抜けましょう」
私もダグラスに担ぎ上げられた。喚きたい気持ちも分かるんだけどね、お腹苦しいし。
身軽な剣士二人が先陣を切って走り、エミリーと私を担いだデイミアンとダグラスが真ん中、魔力を持っている女性2人がしんがりに付いて走っている。
私たちが真ん中なのは、単に瘴気を払う……というか、結界の都合。
ネックレスと私の自然に作られている結界が強くなり、お互い先ほどよりはマシな状態になっている。
そうして森を抜けたと思ったところに、おどろおどろしい光景が広がっていた。
何と言ったらいいのだろう、まだ日は高いはずなのに
乾ききった岩の様になってしまった地面は割れ目が出来、ところどころ天に向かって突き立てるように岩がそそり立っている。
その向こうに、大きな洞窟がありそこから今までよりもさらに濃い瘴気が流れ出ているのが見えていた。