第38話

文字数 531文字



その日もニートだった
ずっとニートのままだった

ある日 
エキストラ募集の記事を見つけ 
ハッとした

そうかこれか
これがオレの進むべき道なのか

オレの前に道はない
オレの後ろの少年だーれ?
行けばわかるさこの道を

ということでオレはさっそく電話して面接の約束を取り付けた

たいそう貧弱な事務所だった
顔写真を撮られた

「採用するけれどそれとはまた別に演技の基礎を勉強したいということであるならば、明日監督さんとかの前で簡単なエチュードをやってほしいんだよね? エチュードってわかるよね?」

そう言われた

「ええ、わかりますけど。一人でやるんですか? 」

「いや、3人くらいかなグループに分かれて、シチュエーションだけ決めてあとはアドリブで」

「はぁ。わかりました」

そういって、事務所を後にしたものの、即興で寸劇なんてやったらとんでもないカオスになりそうで怖かった

そう考えたら戦慄するほどの恐怖に囚われてしまい、速攻で断わりの電話を入れた

先方も驚いたようだった

「そう。しかし、なぜ?」

「怖いんです。以前にもエチュードやったことあったんですが、あまりにも役にハマってしまって、ラップの対決みたく言葉の応酬を続けている内に頭に血が上り気づいたら相手の首を思い切り絞めてました」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み