第23話

文字数 227文字

母を背負い
よわよわしい
冬の陽を求めて
たどる小径

姥捨山に
母を捨てに行く
そんな世界線

背負った母の軽さに
胸を突かれた
おまえは

オウオウオウと
獣のように慟哭する
灼けるやうに
熱ひ涙が頬を伝ふ

尾根道をずっと
木霊が追ってくる

母の慰めの言葉に
おまえは身を
引き裂かれるような
痛みを覚える

周りでは鬼たちが
乱舞し囃し立てる

おまえのやることは
鬼の所業だ
おまえはすでに
ヒトではない
鬼なのだ

平らな石の上に
おろした母を
何度も何度も振り返る

いつの間にか
とっぷりと日が暮れている




鬼になった夜
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