第48話

文字数 284文字

今はどうか知らないがその昔歌舞伎町にはヤ印の人がうじゃうじゃいた

走るときなどは気をつけなければならないほどでまさに不夜城であり人通りが絶えるのは明け方くらいなものだった

その近くのラブホ街で俺は立ちんぼをしていた

化粧をしハイヒールを履いてトワイライトのラブホ街にひっそりと佇む

新大久保のラブホ街の立ちんぼの数はハンパなかった

たぶん場所もある程度は決まっていたのかもしれない

煌びやかな衣装とド派手なメイクで擬態した雌カマキリたち

そんな中でひとりだけおっちゃん以外の何者でもない中年の女装者がいた

小太りの彼女は立ちんぼの列から爪弾きされたように

ひとりポツンと離れて立っていた




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