第32話

文字数 437文字

学校から帰ってきて
カバンだけ置いて遊びに行こうとしたら
リビングでママンが死んでいた

ていうのウソで
ノーベル賞をとったらしいカミュとかいう人の小説の出だしに
たしかそんなのがあった

うちのママンは死んでなくて
ソファから立ち上がると

どこいくの?
といった

カナのとこ

ああ カナちゃんはだめよ

なんで?

だってカナちゃんは
在日だもの

なに ザイニチって

こどもはそんなこと知らなくていいの

とにかくカナちゃんは
だめなのよ ごめんね

もう約束したのに
じゃ
ミクのとこいってくる

ミクちゃん?
ああ ミクちゃんもだめよ

なんで?

だってミクちゃんは
妾腹の子だもの

は?

いえ、なんでもないの
大人になったらわかるわよ

もうかんべんしてよね
あ そうだ じゃ
恵のとこいってくる

え? だめだめ
恵ちゃんもだめなのよ

なんでなの?

だって部落出身だもの

ブラク?

わかった
じゃ ユウのとこいってくる!

あー ユウちゃんかぁ
ユウちゃんもねぇ
LGBTQだから
ごめんねぇ

じゃ いったい誰と遊べばいいのよ!

決まってるでしょ
私たちとおんなじ
冥王星人よ!





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