第62話

文字数 244文字

となり町の夏祭りのとき
ケイタは結婚してほしいと
ナミにプロポーズした

「はい」とナミは
はにかみながらも
うれしそうにそう答えた

そんなことをケイタは
誰もいない冬枯れの公園を
眺めながら
ふと思い出した

あの時の彼女の
美しさはハンパなく
ほんとうに尊いと表現しても
大げさでないくらい美しかった

それがいまはどうだろう
子どもが生まれてから
太りだした彼女には
美しさや優雅さのかけらもなかった

道往く人々を振り返らせる
神々しいほどの美貌も
セレブみたいな華やいだ雰囲気も
いったいどこへ消えてしまったのか

まるで別人だった










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