なくなってしまった何か(5)
文字数 623文字
カーテン越しの朝日がやけに明るかった。柾生はベッドの上に身を起こしてカーテンの隙間から外を覗いた。
辺り一面、夜の間に積もった雪でお菓子のように白一色にコーティングされていた。
いつものパッとしない風景が今朝ばかりは特別に幻想的な世界に見えた。
簡素なつくりのアパートの部屋は冷え切っていて室内でも吐く息が白くなった。
柾生は布団の中に戻りながら莉乃の方を向いた。
莉乃は寒がりで冷え性だから柾生が窓側に寝た。
冬になると莉乃の足は氷のように冷たい時があって、そんな時莉乃は柾生の足に自分の冷えた足をくっつけて寝た。
「うわっ。冷たいなぁ。」
「うん。あっためて。」
柾生は莉乃の細い体全体を自分の体で包むように抱いた。
莉乃の体に柾生の体温が伝わっていくと柾生は莉乃にキスをした。
莉乃の細くてしなやかな肢体は柾生の脳髄に直接的に刺激をかけた。一度湧いてしまったら欲望を抑えるなんてできなかった。
「莉乃・・・」
唇を離して莉乃の胸に顔をうずめた。
「好きだよ。莉乃・・・」
言葉を発した唇の熱を莉乃の乳首に当てる。
「あ・・・いい・・・ああ・・・ん」
莉乃の半分まどろみかけた目がとろりと潤んでくる。
何の迷いもなかった頃。
そんなことを思い出した柾生の血管の中で血流が欲望と嫉妬でたぎってきた。
(莉乃?お前の中に誰がいるの?)
誰にも渡したくない。無様でも何でも莉乃を渡さない。
柾生は静かに寝息をたてる莉乃の傍らで完全に覚醒しながらそう思った。
辺り一面、夜の間に積もった雪でお菓子のように白一色にコーティングされていた。
いつものパッとしない風景が今朝ばかりは特別に幻想的な世界に見えた。
簡素なつくりのアパートの部屋は冷え切っていて室内でも吐く息が白くなった。
柾生は布団の中に戻りながら莉乃の方を向いた。
莉乃は寒がりで冷え性だから柾生が窓側に寝た。
冬になると莉乃の足は氷のように冷たい時があって、そんな時莉乃は柾生の足に自分の冷えた足をくっつけて寝た。
「うわっ。冷たいなぁ。」
「うん。あっためて。」
柾生は莉乃の細い体全体を自分の体で包むように抱いた。
莉乃の体に柾生の体温が伝わっていくと柾生は莉乃にキスをした。
莉乃の細くてしなやかな肢体は柾生の脳髄に直接的に刺激をかけた。一度湧いてしまったら欲望を抑えるなんてできなかった。
「莉乃・・・」
唇を離して莉乃の胸に顔をうずめた。
「好きだよ。莉乃・・・」
言葉を発した唇の熱を莉乃の乳首に当てる。
「あ・・・いい・・・ああ・・・ん」
莉乃の半分まどろみかけた目がとろりと潤んでくる。
何の迷いもなかった頃。
そんなことを思い出した柾生の血管の中で血流が欲望と嫉妬でたぎってきた。
(莉乃?お前の中に誰がいるの?)
誰にも渡したくない。無様でも何でも莉乃を渡さない。
柾生は静かに寝息をたてる莉乃の傍らで完全に覚醒しながらそう思った。