んじゃ、遠慮なくいただくぜ。んぐんぐんぐ……ぷっは~! やっぱ、冷えたビールは最高だな!
透明な器はビールジョッキ。お酒はビールだった。
しかもキンキンに冷えている。
ギルドのキッチンには食材を冷やしておける棚があるそうだから、そこで冷やしているんじゃないのかな
美味そうに喉を鳴らしてビールを飲んでいたマレスコがジョッキを置いた。
んで、だ。頼りになる前衛の話だったよな。二刀使いのヒビトに、絶対防御のミウラ、あとは一番槍のク・ホリイだったか
三人とも俺はパーティーを組んだことがあるんだが――
ああ。もちろん別々のパーティーでだけどな。
たしかに三人ともすげぇ奴だよ。あのレベルのはちょっと他でお目にかかることはない
少年たちはそれぞれが慕う英雄を思い浮かべながら胸を張っている。
ヒビトの反応速度はやべぇ。この俺の目ですら追い切れないレベルだった。剣速もとんでもないな。使っている剣とも相まって目で捕えるのはまず不可能だ
ミウラの硬さはマジとんでもないぞ。あいつ、ジャイアントトロルの一撃でも平然としていたからな。人間じゃねぇ
ク・ホリイの槍捌きは敵を懐に入れない文字通り槍の結界だ。しかもとんでもないのは投げた槍は百発百中。おまけに自動で戻ってくる。あれがあいつの魔法なんじゃねぇかな
んでまぁ、三人が揃ってある人に稽古をつけてもらったことがあるんだが、瞬殺だったね……三人の方が
ちなみに相手はここのギルドマスターな。カレタカさん。なんでも三人を冒険者に勧誘したのがあの人らしい。んで、腕を上げたから見てくれって三人で挑んで見事返り討ち
その稽古の様子を聞きたいっていうのなら、もう一杯奢ってもらわねぇと口にはできないな
その日、マレスコは浴びるほど冷えたビールを堪能することができた。