忘れ物
文字数 1,039文字
カレタカが裏通りを歩くようにしているのは理由がある。
人の目につきにくいところには問題が起きやすい。
スリであったり、人さらいであったり、場合によっては殺人であったり。
もちろん兵士たちは町の巡回をしているが、裏通りにまで目を配れない。
だからこそ冒険者ギルドが目の届かないところのフォローをしているのだ。
聞いたことのない言葉だったのか、二人は顔を見合わせている。
一般的に冒険者というのは荒くれ者と大差がない存在だと思われている。
その一方で冒険者が町の周辺に出没するモンスターを退治したり、アイテムを入手してくることで一般人の生活が成り立っている部分もある。
共存共栄のためにも冒険者たちには一定の品位をカレタカは求めた。
たとえば一般人に手を出さないとか、犯罪行為に手を染めないといったことだ。
マレスコは腹を抱えてゲラゲラと笑っている。
パルメも仕方がないなと言いたげな顔をしていた。
マレスコの問いかけにパルメは頷く。
スカウトらしく足音を立てずにマレスコは走り去っていった。
歴戦の冒険者だったと噂されるギルドマスターの意外な一面をパルメは好意的に受け止めたようだ。