油売り
文字数 1,224文字
カレーや味噌汁のような簡単なものしか作れないと言っていたキョウコだが、元の世界では仕事が忙しい母親にかわって毎日の食事やお弁当を用意していたぐらい料理には慣れていた。
しかもこの世界には日本に近い食材があり、調理器具も多少の違いがあるとはいえ揃っている。
それ故、今のキョウコはウェイトレスとしてホールに出るよりも、コックとして調理場に立つことが多くなっている。
三人の高評価にシュウジも嬉しくなる。
味覚が近い者といっしょに食事をとると楽しいからだ。美味い食事は人の和を作る。
シュウジもカレタカにギルドに来ないかと誘われたクチだ。あのイケメンボイスに誘われれば男だってほいほいついて行ってしまうのは仕方がない。
年齢不詳ながら美男子だし、ギルドマスターなんて地位についているし、噂では超一流の冒険者だったというし、その上に料理上手とかどうなっているんだと言わざるを得ない。
神様っていうのは実に不公平だとシュウジは思った。