探り
文字数 954文字
ロセスを見つめるラクリマのどこか生暖かそうな目を見て確認をする。
しかしそれが逆にラクリマに間違った確信を持たせてしまった。
ラクリマの目には、ちょっとだけロセスの瞳の奥に暗い炎が揺らいだ……ように見えた。
この年頃の女の子なら年上の男性にのぼせるっていうのはあるよねなどと心の中でうんうんとうなずく。
先輩としてここは一肌脱いでおくのもいいかもとラクリマは思う。
たとえ叶わない恋であっても、恋は女を美しくするのだと女性誌で見たことがある。ついぞ自分には縁のなかったことだが、後輩の幸せを願うのは悪いことではないだろう。
それと同時に悪戯心が頭をもたげる。
いくつか自分が持っているカードをオープンにして彼女の興味を引き出し、反応を伺い、確信を持つことによっておいしいお話のネタに育て上げようと瞬時に考えをまとめた。
この世界でも結婚をした場合は左手の薬指に指輪をする者がいる。ただし全員というわけではない。
結婚をしているどころか子供がいるにも関わらず他の異性と関係を持とうとする不届き者はいるし、それがパートナーにバレれば刃傷沙汰になるのもよくある話だ。
特に冒険者同士で結婚をしていれば、双方ともそれなりの殺傷能力を持っているわけで。