日本語
文字数 1,007文字
茶目っ気たっぷりに声をかける。ぱちりとウィンクも付けた。
それだけで決まったパートナーのいない初心な女性冒険者なら顔を赤くしながら喜ぶところだ。
この少女の場合はそんなことはなかった。だが少しは警戒心解いたのだろう。少女が口を開く。
少女は縋るような目でカレタカを見つめている。
二人の会話する言葉を聞いて、ミレーアは黙って席を外した。こういった気遣いができるところも彼女が人気の理由なのだろう。
如実に落ち込む少女。
キョウコのような名前はこの世界で生まれた者にはまずありえない。ごくまれにあるのをカレタカは知っているが、それは些細な点だ。
怯えたようにキョウコはカレタカから少し距離を取った。
カレタカは頭の上に両手を置いて、ぴょこぴょこと動かして見せた。
この世界には鱗をまとった種族や、羽の生えた種族なども生きている。
『日本』からやってきたキョウコから見ればどれも異質な存在にしか見えないだろう。
素直にキョウコは頭を下げる。
彼女に差別意識はないのだ。ただ自分とは違う存在がいるだけなのだと心では理解しているのだから。
それは元の世界でも変わらない。