夢じゃない
文字数 761文字
最後の望みとばかりに問いかける。
力ない笑いだった。現実を受け止めきれないとき、ニホン人はこうやって笑うのだ。
嘆いたり涙を流す者もいるが、カレタカの知る限りニホン人の多くは笑う。
キョウコは記憶を整理するように少し考え込んでいる。
ニホン人というのは、この神と名乗る存在との遭遇時にギフトを与えられると言われてまず断る人が多い。
もちろん喜び勇んで要求する者もいるのだが、どうやらただで何かをもらうのに引け目を感じる人が多いのではないかというのがカレタカの予想だ。
もっとも最終的に神を名乗る存在は彼らにギフトを等しく授ける。
キョウコはスカートのポケットから取り出した手のひらサイズの薄い板を取り出してため息をついていた。