メイドとは何か
文字数 1,148文字
メイド好きを名乗っていると、たまにではあるがヘンなのに絡まれることがある。
メイドスキーにすれば取るに足らない、些細な言いがかりにしか思えないわけなのだが。
よくあるのがメイドはウェイトレスではないというものだ。
はあ。世の中を知らなさすぎる。
これは一見、正論のように聞こえるかもしれない。
いや、他人の見識を悪いと言うつもりはないのだ。
誰しも知らないことはある。もちろん健一にだって知らないことは多い。
具体的にはメイド以外のことはよく知らない。
だがよく考えてみて欲しい。
もともと日本にはメイドは存在しなかった。
いや、わかっている。
そんないちいちツッコミを入れないでも大丈夫だ。
日本にも貴人の近くに侍り、お世話をしたという女中や女房などはいたし、時代が下って家政婦と呼ばれる人たちが日本にも存在していた。
健一だってそのことは認めている。
事実を事実として受け入れないという狭量さは持ち合わせていないことをご承知おきいただきたい。
だが、あえて問いかけよう。
それはメイドと言えるのか、と。
たしかに役割や仕事内容において日本の家政婦とメイドには重なる部分がある。
しかし四本足だからゾウとネズミが同じと言っていいのかという話だ。
それぐらい日本の家政婦とメイドを同一視するのは乱暴なことなのだ。
改めて考えてみようではないか。
メイドとは何かを。
メイドと聞いて何を思い浮かべるか。
多くの人は仕事内容ではないだろうか。
ならばここでメイドの分類について触れておこう。
まずメイドがする仕事として思い浮かべるのは貴族の屋敷を清潔を保つために行う掃除だろう。この仕事をするメイドをハウスメイドと言う。
ホウキやハタキをもって掃除をしているメイド姿といえば海外映画の一コマとして時折登場する。
ディープなメイドスキーともなると、そういったシーンだけをつなげた動画を作成したりもするらしい。素晴らしい趣味の持ち主と言えるだろう。
次に貴族の子息子女の面倒を見るナニーメイド。いわゆる子守だ。
日本でもそうだったが、高貴な身分にある女性は自分で子育てをしないのが一種のステータスなのでナニーメイドが生まれた。メイドから母性を感じる場合はこのあたりが影響をしているのだと思われる。
子守ではなく女主人の身の回りの世話をするのがレディースメイドだ。他の言い方ならば侍女。
彼女たちは着替えを手伝ったり、外出するときに同行したりもする。
パーラーメイドは客間で給仕なんかをするメイドのことだ。お客様の目に触れることが多いので、容姿の整った者を選んだという。
メイドには美人が多いというのはこのあたりから来たのだろう。
細かく分類をすれば他にもいるわけだが、主だったところならば以上で十分だ。