第24話
文字数 549文字
学生時代も社会人になってからもそれは変わらない。広く浅く、差し障りがない程度に、波風立てずに穏便に付き合う。それが芽衣里流の付き合い方なのだ。
「お仕事は変わらず、ですか?」
担当している美容師は明るく振り返った。小柄な身体を覆っている花柄のロングワンピースが揺れる。
「はい」
「クレーム対応でしたよね?」
詳細にはそうではない。芽衣里は発注受付要員として雇用されている。前にここでクレーム聞いたりすることもある、と少し話したのをこの美容師は覚えていたのだろう。
「まあ、そんなところです」
守秘義務があり、詳かな情報を部外者に話すことはできないため、芽衣里はぼかした。
芽衣里は大手カタログ通信販売会社のコールセンターに勤務している。メインでかかってくる電話は注文目的だが、返品・交換や返金といった対応も行う。中には、要望通りに応えられないケースもあり、その場合の一部の客はモンスターと化し、連日のように無理難題を並べ立てるための入電を繰り返す。
高校卒業とともにコールセンター業界に入った芽衣里は、複数の勤務先を経て現在の会社に流れついた。もはや電話対応についてはベテランであり、電話を取るだけでなく管理者として新人オペレーターの会話をモニタリングしたり、対応困難者についてのエスカレーション対応を行っている。
「お仕事は変わらず、ですか?」
担当している美容師は明るく振り返った。小柄な身体を覆っている花柄のロングワンピースが揺れる。
「はい」
「クレーム対応でしたよね?」
詳細にはそうではない。芽衣里は発注受付要員として雇用されている。前にここでクレーム聞いたりすることもある、と少し話したのをこの美容師は覚えていたのだろう。
「まあ、そんなところです」
守秘義務があり、詳かな情報を部外者に話すことはできないため、芽衣里はぼかした。
芽衣里は大手カタログ通信販売会社のコールセンターに勤務している。メインでかかってくる電話は注文目的だが、返品・交換や返金といった対応も行う。中には、要望通りに応えられないケースもあり、その場合の一部の客はモンスターと化し、連日のように無理難題を並べ立てるための入電を繰り返す。
高校卒業とともにコールセンター業界に入った芽衣里は、複数の勤務先を経て現在の会社に流れついた。もはや電話対応についてはベテランであり、電話を取るだけでなく管理者として新人オペレーターの会話をモニタリングしたり、対応困難者についてのエスカレーション対応を行っている。