第38話
文字数 425文字
一人になり、いざ薬を飲もうと思っても、意外とあれこれ考えてしまうものだった。あれほど決意は固まった、と思っていたのに。
芽衣里は机に置かれた薬と紙コップを見つめた。
あれを口に含んでしまえば、すべてが終わるんだ。
そう思い、袋の中から錠剤を取り出す。
ふと部屋の中を見回した。四方を囲む壁と天井は白い。ベッドの柵と寝具類も白い。ベッドの頭側にある窓にかかるカーテンも白い。テーブルは木製だ。窓の外は明るい。
この部屋で何人が死んだのだろうか。
さあ、飲まなくては。
芽衣里は錠剤を銀紙から破って出し、水の入った紙コップを掴んだ。手の平に白い錠剤が乗っかる。まだ血色は良く、弾力とツヤもある手だ。
一度も占いを訪れたことはない。それでも生命線ぐらいはどれなのか知っている。長ければ寿命が長い、と言われていることも。
芽衣里の生命線はとても長い。手首に届きそうなぐらい、深く刻まれている。
それは単なる迷信に過ぎないのだ。
掌を唇に近づけ、芽衣里は錠剤を吸うように口に入れた。
芽衣里は机に置かれた薬と紙コップを見つめた。
あれを口に含んでしまえば、すべてが終わるんだ。
そう思い、袋の中から錠剤を取り出す。
ふと部屋の中を見回した。四方を囲む壁と天井は白い。ベッドの柵と寝具類も白い。ベッドの頭側にある窓にかかるカーテンも白い。テーブルは木製だ。窓の外は明るい。
この部屋で何人が死んだのだろうか。
さあ、飲まなくては。
芽衣里は錠剤を銀紙から破って出し、水の入った紙コップを掴んだ。手の平に白い錠剤が乗っかる。まだ血色は良く、弾力とツヤもある手だ。
一度も占いを訪れたことはない。それでも生命線ぐらいはどれなのか知っている。長ければ寿命が長い、と言われていることも。
芽衣里の生命線はとても長い。手首に届きそうなぐらい、深く刻まれている。
それは単なる迷信に過ぎないのだ。
掌を唇に近づけ、芽衣里は錠剤を吸うように口に入れた。