騒ぎの張本人
文字数 966文字
ランカは『シッ!』と口元に指を立てます。
「ねぇねぇ、何か変な音が…少しずつ大きくなってない?」
耳を澄ませると石が擦れる様な音が微かに聞こえてきました。
それはランカが指摘した通り、段々と確実に大きくなってゆきます。
無機質なのに不規則で生物的な音。
「そこの裏…誰かいるの?」
視線の先には赤い薔薇の木の植え込み。
その裏からハッキリとした気配が感じられる様になったのです。
ソレはすずの問いに応えず、更に音を大きくしてゆきました。
2人は恐る恐る植え込みに近づくと、勇気を振り絞って覗き込みます。
「!?」
最初に見えたのはコウモリの様な形をした大きい翼でした。
とても悩ましい表情をした寝顔。
尖った牙は口に収まらず剥き出しになっています。
ゴツゴツした指から伸びた爪は長く鋭くて、ソレが敵対する者を斬り捨てる為だけにある事を想像させました。
「何で学校の石像が温室にあるのよ!?」
そこに有ったのは正に消えた魔獣の石像。
ランカが驚きの声を上げると、ピタリと奇妙な音が止みました。
どうやら彼(?)もこちらに気付いた様です。
察するに石像の正体はガーゴイル。
主人の命を受けて警護の対象を護る、動く魔法の石像です。
ガーゴイルはまぶたを開けると少し驚いた様子を見せ、落胆し深い溜め息をつきました。
すずは思い切って話し掛けてみます。
「先生達、貴方が無くなってとても困ってたの」
その言葉にガーゴイルは申し訳無さそうな顔で話し始めました。
「自分の役目は学校のロビーで昼となく夜となく見張る事。ただその為だけに生まれてきたんであります」
悲しげな表情が更に曇ります。
「なのに自分ときたら最近居眠りばかりしてしまうんであります…」
ロビーにあった時とは大違い。
とっても情けない表情で話しを続けます。
「自分は自身の役目も満足に果たせない駄目なヤツなんであります…」
彼はすっかり自信を無くしている様子でした。
「居眠りせずにすむ方法を見つけない事には帰る事も出来ないんで…あります。いったいどうすれば…。この事は…誰にも内緒に……」
そう言いかけて、静かに黙ってしまったガーゴイル。
やがて、あの石を擦り合わせる様な音を響かせ始めました。
「えーと…」
言葉に詰まるランカ。
すずは確信しました。
「寝てるの…かしら?」
「ねぇねぇ、何か変な音が…少しずつ大きくなってない?」
耳を澄ませると石が擦れる様な音が微かに聞こえてきました。
それはランカが指摘した通り、段々と確実に大きくなってゆきます。
無機質なのに不規則で生物的な音。
「そこの裏…誰かいるの?」
視線の先には赤い薔薇の木の植え込み。
その裏からハッキリとした気配が感じられる様になったのです。
ソレはすずの問いに応えず、更に音を大きくしてゆきました。
2人は恐る恐る植え込みに近づくと、勇気を振り絞って覗き込みます。
「!?」
最初に見えたのはコウモリの様な形をした大きい翼でした。
とても悩ましい表情をした寝顔。
尖った牙は口に収まらず剥き出しになっています。
ゴツゴツした指から伸びた爪は長く鋭くて、ソレが敵対する者を斬り捨てる為だけにある事を想像させました。
「何で学校の石像が温室にあるのよ!?」
そこに有ったのは正に消えた魔獣の石像。
ランカが驚きの声を上げると、ピタリと奇妙な音が止みました。
どうやら彼(?)もこちらに気付いた様です。
察するに石像の正体はガーゴイル。
主人の命を受けて警護の対象を護る、動く魔法の石像です。
ガーゴイルはまぶたを開けると少し驚いた様子を見せ、落胆し深い溜め息をつきました。
すずは思い切って話し掛けてみます。
「先生達、貴方が無くなってとても困ってたの」
その言葉にガーゴイルは申し訳無さそうな顔で話し始めました。
「自分の役目は学校のロビーで昼となく夜となく見張る事。ただその為だけに生まれてきたんであります」
悲しげな表情が更に曇ります。
「なのに自分ときたら最近居眠りばかりしてしまうんであります…」
ロビーにあった時とは大違い。
とっても情けない表情で話しを続けます。
「自分は自身の役目も満足に果たせない駄目なヤツなんであります…」
彼はすっかり自信を無くしている様子でした。
「居眠りせずにすむ方法を見つけない事には帰る事も出来ないんで…あります。いったいどうすれば…。この事は…誰にも内緒に……」
そう言いかけて、静かに黙ってしまったガーゴイル。
やがて、あの石を擦り合わせる様な音を響かせ始めました。
「えーと…」
言葉に詰まるランカ。
すずは確信しました。
「寝てるの…かしら?」