螺旋階段の奇襲
文字数 974文字
壁一面に納められた魔道書の数々。
意外に管理が行き届いていない様子で、探している本がちっとも見つかりません。
焦れば焦る程、探し物は見つからないもの。
ソレを理解しているランカは努めて心を落ち着けて、あえてゆっくり背表紙をなぞりました。
「…あった」
本棚から取り出した一冊の魔導書。
背表紙には“言霊石”と書かれていて、表紙には“禁書”の判が捺されています。
それは学生の閲覧を禁止する表示。
彼女はアッサリ警告を無視して内容を確認し始めました。
そこへすずが静かに駆け寄ります。
「ランカ! 誰か来るの」
「まって。もう少し…」
上級生は鍵を探しにやってきます。
当然、明かりを灯して探すでしょう。
このまま隠れてやり過ごす手はありません。
すずは覚悟を決めると、部屋を出て静かにドアを閉めます。
ここは開いていてはいけない場所ですから。
音も無く階段を上がり、上級生達の上をとって杖を構えました。
「見つかりませんね。もう司書室に着いちゃいます…って、ちゃんと探して下さいよ」
「あー見つからなかったら、オマエが反省文書きなヨ」
「そんなゴムタイな」
何の罪も無い人を傷付けるのがどれだけいけない事か…
勿論、すずは理解してます。
でもここで見つかれば停学処分…いや、そんなことは問題ではありません。
いまはリリー達を無事に元の世界へ還す事が大事。
その為に覚悟を決めてきたのです。
彼女は心の中で謝罪すると、精神を集中して魔法式を唱えました。
杖から放たれた見えない力は、確実に上級生の一人を捉えます。
刹那…
「!?」
そのお姉さんが大きな“オナラ”をしたんです。
少しの沈黙。
それを聞いた連れのお兄さんは大笑い…しそうになって表情が凍りつきました。
「イナバ!! 豆腐の角で殴り殺してヤル!!」
「ちょ…待って下さ…」
何をどう勘違いしたのかグーで彼を殴りつけるお姉さん。
「3ミリで楽にしてやるヨ」
お兄さんは訳も分からず階段を飛び降りると、百何十メートル下の床ギリギリで重力を中和し降り立ちます。
「お嬢、落ち着いて!!」
「逃げるナ! バナナで釘打ち付けるヨ!!」
一方、お姉さんは虚空からホウキを取り出して、猛スピードで追いかけていきました。
再び静かになった螺旋階段。
「本当にごめんなさい」
すずは悪戯っぽく舌を出します。
意外に管理が行き届いていない様子で、探している本がちっとも見つかりません。
焦れば焦る程、探し物は見つからないもの。
ソレを理解しているランカは努めて心を落ち着けて、あえてゆっくり背表紙をなぞりました。
「…あった」
本棚から取り出した一冊の魔導書。
背表紙には“言霊石”と書かれていて、表紙には“禁書”の判が捺されています。
それは学生の閲覧を禁止する表示。
彼女はアッサリ警告を無視して内容を確認し始めました。
そこへすずが静かに駆け寄ります。
「ランカ! 誰か来るの」
「まって。もう少し…」
上級生は鍵を探しにやってきます。
当然、明かりを灯して探すでしょう。
このまま隠れてやり過ごす手はありません。
すずは覚悟を決めると、部屋を出て静かにドアを閉めます。
ここは開いていてはいけない場所ですから。
音も無く階段を上がり、上級生達の上をとって杖を構えました。
「見つかりませんね。もう司書室に着いちゃいます…って、ちゃんと探して下さいよ」
「あー見つからなかったら、オマエが反省文書きなヨ」
「そんなゴムタイな」
何の罪も無い人を傷付けるのがどれだけいけない事か…
勿論、すずは理解してます。
でもここで見つかれば停学処分…いや、そんなことは問題ではありません。
いまはリリー達を無事に元の世界へ還す事が大事。
その為に覚悟を決めてきたのです。
彼女は心の中で謝罪すると、精神を集中して魔法式を唱えました。
杖から放たれた見えない力は、確実に上級生の一人を捉えます。
刹那…
「!?」
そのお姉さんが大きな“オナラ”をしたんです。
少しの沈黙。
それを聞いた連れのお兄さんは大笑い…しそうになって表情が凍りつきました。
「イナバ!! 豆腐の角で殴り殺してヤル!!」
「ちょ…待って下さ…」
何をどう勘違いしたのかグーで彼を殴りつけるお姉さん。
「3ミリで楽にしてやるヨ」
お兄さんは訳も分からず階段を飛び降りると、百何十メートル下の床ギリギリで重力を中和し降り立ちます。
「お嬢、落ち着いて!!」
「逃げるナ! バナナで釘打ち付けるヨ!!」
一方、お姉さんは虚空からホウキを取り出して、猛スピードで追いかけていきました。
再び静かになった螺旋階段。
「本当にごめんなさい」
すずは悪戯っぽく舌を出します。