傷付いた花
文字数 1,032文字
本当に優しい人は誰にでも優しいしですし、裏も表も無い人ですよね。
デイジーさんは自分にだけ特別扱いされる事なんかに優越感を感じたりしません。
むしろなんだか嘘をつかれてるみたいで悲しくなるのです。
別に前の恋を引きずっているわけではないのですが、どうも男性の優しさを素直に受け入れられない自分がここにいました。
「今は…うん、そうね…。彼氏とかあんまり考えられないかな…」
それは“男性恐怖症”と言っても良いのかも知れません。
言葉や動作のひとつひとつに裏が有るように感じてしまい、いつの間にか触れる事すら出来なくなってしまったんです。
ランカはアルバイトに来て早々レジでお会計を任されたり、必ず受け渡しを担当していた理由をここで知りました。
お釣りの受け渡しがぎこちなかったり、商品をカウンターに置いて渡したりしたら、やっぱりお客さんに失礼ですもんね。
『ちょと重症かも…』
そんな話をしているとドアがノックされました。
「はい?」
ランカは察して対応に出ます。
透明なガラスのドアの前に立っていたのは、両手で段ボールを抱えた黒猫急便のオジサンでした。
「デ、デイジーさんは?」
彼はたどたどしく訪ねると、大きな段ボールの荷物を床に置きます。
「今は手が離せないのでアタシが代わりに…」
…と、それは一瞬の出来事でした。
「ランカちゃん。荷物かしら?」
後ろからデイジーさんが近づく気配がして、ランカの意識もそちらに注がれた瞬間。
「え…!?」
黒猫急便のオジサンは何も言わず走り去ってしまったんです。
呆気にとられたランカの前に残されたのは荷物らしき段ボールの箱。
「いったい何なのよ?」
仕方なく中へ運び入れます。
その箱は使い回した感があり、テープもされず交互に組んだ状態で閉められていました。
しかも荷札らしい物が貼られていません。
はっきり言って不審物です。
「開けてみましょ」
デイジーさんは意外と大胆に、全く躊躇せず箱を開きました。
「何コレ?」
中には沢山の傷付いた花が入っていました。
花びらが数枚散ってしまっている物。
葉がちぎれてしまっている物や、茎が折れてしまっている物ばかりです。
「いったい何のつもり? イタズラにしても酷すぎるよ!」
ランカは固定電話の受話器を手に取りました。
しかし直ぐデイジーさんに止められます。
「ランカちゃんありがとう。今日はもう上がって…」
彼女は最後まで言い終わらずに、ホウキを持って外へ飛び出しました。
デイジーさんは自分にだけ特別扱いされる事なんかに優越感を感じたりしません。
むしろなんだか嘘をつかれてるみたいで悲しくなるのです。
別に前の恋を引きずっているわけではないのですが、どうも男性の優しさを素直に受け入れられない自分がここにいました。
「今は…うん、そうね…。彼氏とかあんまり考えられないかな…」
それは“男性恐怖症”と言っても良いのかも知れません。
言葉や動作のひとつひとつに裏が有るように感じてしまい、いつの間にか触れる事すら出来なくなってしまったんです。
ランカはアルバイトに来て早々レジでお会計を任されたり、必ず受け渡しを担当していた理由をここで知りました。
お釣りの受け渡しがぎこちなかったり、商品をカウンターに置いて渡したりしたら、やっぱりお客さんに失礼ですもんね。
『ちょと重症かも…』
そんな話をしているとドアがノックされました。
「はい?」
ランカは察して対応に出ます。
透明なガラスのドアの前に立っていたのは、両手で段ボールを抱えた黒猫急便のオジサンでした。
「デ、デイジーさんは?」
彼はたどたどしく訪ねると、大きな段ボールの荷物を床に置きます。
「今は手が離せないのでアタシが代わりに…」
…と、それは一瞬の出来事でした。
「ランカちゃん。荷物かしら?」
後ろからデイジーさんが近づく気配がして、ランカの意識もそちらに注がれた瞬間。
「え…!?」
黒猫急便のオジサンは何も言わず走り去ってしまったんです。
呆気にとられたランカの前に残されたのは荷物らしき段ボールの箱。
「いったい何なのよ?」
仕方なく中へ運び入れます。
その箱は使い回した感があり、テープもされず交互に組んだ状態で閉められていました。
しかも荷札らしい物が貼られていません。
はっきり言って不審物です。
「開けてみましょ」
デイジーさんは意外と大胆に、全く躊躇せず箱を開きました。
「何コレ?」
中には沢山の傷付いた花が入っていました。
花びらが数枚散ってしまっている物。
葉がちぎれてしまっている物や、茎が折れてしまっている物ばかりです。
「いったい何のつもり? イタズラにしても酷すぎるよ!」
ランカは固定電話の受話器を手に取りました。
しかし直ぐデイジーさんに止められます。
「ランカちゃんありがとう。今日はもう上がって…」
彼女は最後まで言い終わらずに、ホウキを持って外へ飛び出しました。