キノコが特効薬?

文字数 1,000文字

「これが例のキノコを使った刺激的な料理でありますか?」
ガーゴイルは期待を込めた眼差しで料理を見つめています。
「本当にコレで良かったのかな?」
出来上がったグラタンは焦げたチーズが香ばしい、実に美味しそうな一品でした。
しかし調理した本人のランカは、とても心配そうな顔をしています。
「大丈夫! 心配いらないであります」
「でもアタシ達は味見すらしていない…」
本当は、2人は味見“できない”なのですが…ガーゴイルは話し終わるまで待たず、またペロリと料理を平らげてしまいました。
「おおっ!? これはっ…たっ…確かにすっごく刺激的であります!」
彼は確かな手応えを感じている様です。
「なんだか身体の奥からカーッと熱くなってきて、気持ちもウキウキするであります!」
興奮気味で気持ちがハイになったガーゴイル。
力一杯羽ばたくと、物凄い勢いで飛び回ります。
「こんなに素早く飛んだのは初めてであります! ウ…ウワハハハハッ!」
少しハシャギ過ぎな気もしますが…。
料理に使用した純白の美しいキノコの名前はドクツルタケ。
別名“殺しの天使”(汗)
人が食べれば細胞を破壊して内臓に致命的な障害を与えます。
こんな恐ろしいキノコを“目覚しの薬”だと言われたって素直に用意出来ません。
依頼を引き受けた2人は図書室で調べたのですが…
ガーゴイルに効く薬の記述なんて、どんな本を調べても載っていなかったのです。
結局は彼の記憶を信じてこのキノコを料理したのでした。
でも、これで一件落着…と、そう思ったのですが…。
「ねぇねぇ、ちょっと様子がおかしいよ?」
「え!?」
大笑いしながら飛び回るガーゴイルはフラフラしだして次第に失速し、2人の前に落ちて来ました。
土埃が舞う中、まだ高笑いがこだまします。
「ウヒョ…笑いが…止ま…ヒョッー!?
・・・・・・(汗)
ガーゴイルは呼吸困難になりながら、数十分も笑い転げていました。
どうやらガーゴイルにとってドクツルタケは、一時的に運動能力を高める効果がある様です。
しかし副作用で発作を起こしてしまうなら、問題の解決にはなりません。
ガーゴイルは明らかにグッタリしています。
「確かにこれを食べれば少しは目が覚めそうではありますが…。見張り役の自分がこんな風に笑ってるわけにはいかないんであります」
いや、そーゆー問題では…。

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登場人物紹介

鈴音(すずね)


修道院の貧困を救うためにお金を稼げる大人を目指している孤児院出身の女の子。

努力と根性で高名な魔法学校に次席入学を果たした。

過去に壮絶な死別を経験しており、食べ物を粗末にする事を極端に嫌う。

明るく積極的で協調性にも優れ友達が多い。

しかし実は周囲の生徒と価値観が合わず、本当の友達と呼べるのはランカ一人しかいない。


モデル:CHOCO鈴音

蘭華(ランカ)


すずねの親友で魔法学校を主席で入学した秀才。

天才肌で大抵の勉強は授業のみで覚えられる。

しかし将来に対して何の希望も目標も持てず悩んでいる。

明るく行動的なすずねに刺激を受けてうわさ話を追いかけている。

意外と抜けている一面も。

好物はラーメン。


モデル:CHOCO蘭華

無糖あず(語り手)


二次創作“君影草と魔法の365日”の作者。

トーク作品で一話の“消えた石像の謎”や没ネタ、没エピソードも公開中。

君影草を好きになってくれた人はぜひ!

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