地底世界の来訪者
文字数 933文字
採石所にツルハシ等の道具は用意されていません。
予め先生達が掘削してくれているので、生徒は目的のクリスタルが含まれている原石を探して拾うだけです。
「ん…あれ何よ?」
ランタンの光を反射して大きな何かが煌めきました。
「ねぇねぇ、誰かが落としたのかな?」
不自然に置かれていたのは大きく立派なオレンジ色のクリスタル。
すずが恐る恐るソレに触れると…。
「落盤!?」
洞窟全体が突然大きな揺れに襲われました。
2人は手をギュッと繋いで肩を寄せ合います。
「じゃーんっ!」
自ら声で効果音。
「あーはははっ!」
無駄に大きな笑い声。
「本さ書いてあった通りだべ。地上人は石を置いておけば寄ってくるってホントだっただなあ!」
良く解らない台詞。
大きく洞窟を揺らして近づいてきた生き物は勝手に話を続けます。
「おらか? おらは地底人だぁ!」
誰も聞いていないのに“地底人”と名乗るその生き物は岩石で出来た巨大な卵の様な姿をしていました。
その大きさは通ってきた坑道を塞いでしまうくらいです。
小さく細い手が申し訳なさそうに生えていて、同じく折れそうな細く短い足が岩石の身体を支えていました。
目鼻もとても小さく、クチだけが大きく開いて喋り続けています。
「地底人らしいのランカ」
彼が急に現れた時はかなりびっくりしましたが、2人ともその濃いキャラにドン引きしていました。
そもそも本の通りってなんなのでしょう?
「今、地底じゃ地上へ行くのが流行の最先端なんだぁ。でも地上のことはよく知らねえから地上人を捕まえて案内させれって本に書いてあったべ」
…えっと、無茶苦茶な事を言ってませんか?
地底人は1人で話を続けますが黙って聞いてあげる義理もありません。
話す事に夢中な彼を置いて、すず達は少しずつ距離をとります。
「地上人を捕まえる方法もしっかり書いてあって試してみたけどもよ」
地底人の低い声は洞窟内で反響して響き渡っていたので二人の足音は聞こえません。
「あははははっ! 本当に捕まるもんなんだなぁ。さすが地上旅行のベストセラーガイドだべ」
冗談じゃない!
訳の分からない事に巻き込まれて、日直の課題を達成出来ないのは御免です。
二人は全速力で外へ向かって走りました。
予め先生達が掘削してくれているので、生徒は目的のクリスタルが含まれている原石を探して拾うだけです。
「ん…あれ何よ?」
ランタンの光を反射して大きな何かが煌めきました。
「ねぇねぇ、誰かが落としたのかな?」
不自然に置かれていたのは大きく立派なオレンジ色のクリスタル。
すずが恐る恐るソレに触れると…。
「落盤!?」
洞窟全体が突然大きな揺れに襲われました。
2人は手をギュッと繋いで肩を寄せ合います。
「じゃーんっ!」
自ら声で効果音。
「あーはははっ!」
無駄に大きな笑い声。
「本さ書いてあった通りだべ。地上人は石を置いておけば寄ってくるってホントだっただなあ!」
良く解らない台詞。
大きく洞窟を揺らして近づいてきた生き物は勝手に話を続けます。
「おらか? おらは地底人だぁ!」
誰も聞いていないのに“地底人”と名乗るその生き物は岩石で出来た巨大な卵の様な姿をしていました。
その大きさは通ってきた坑道を塞いでしまうくらいです。
小さく細い手が申し訳なさそうに生えていて、同じく折れそうな細く短い足が岩石の身体を支えていました。
目鼻もとても小さく、クチだけが大きく開いて喋り続けています。
「地底人らしいのランカ」
彼が急に現れた時はかなりびっくりしましたが、2人ともその濃いキャラにドン引きしていました。
そもそも本の通りってなんなのでしょう?
「今、地底じゃ地上へ行くのが流行の最先端なんだぁ。でも地上のことはよく知らねえから地上人を捕まえて案内させれって本に書いてあったべ」
…えっと、無茶苦茶な事を言ってませんか?
地底人は1人で話を続けますが黙って聞いてあげる義理もありません。
話す事に夢中な彼を置いて、すず達は少しずつ距離をとります。
「地上人を捕まえる方法もしっかり書いてあって試してみたけどもよ」
地底人の低い声は洞窟内で反響して響き渡っていたので二人の足音は聞こえません。
「あははははっ! 本当に捕まるもんなんだなぁ。さすが地上旅行のベストセラーガイドだべ」
冗談じゃない!
訳の分からない事に巻き込まれて、日直の課題を達成出来ないのは御免です。
二人は全速力で外へ向かって走りました。