材料泥棒
文字数 976文字
亀谷商店は風邪薬から魔法薬、呪術の材料に至るまで格安でなんでも調合してくれます。
すずとランカはドラゴンの為に、薬を探しに来ました。
…と言っても身体の大きな彼には大量の薬が必要です。
でもそんなに沢山買うお金は二人にありませんし、間違いなく不審がられてしまいます。
そこで倉庫の材料を拝借して、自分達の手で作ることにしました。
調合方法は普段からお手伝いしているランカが知っています。
「どれが必要なの?」
「えっと、そこの赤い瓶と、右に積んである麻布袋と…」
幸い必要な材料にそれほど高価な物は無く、時間をかけて探せば黄昏の樹海で見つかる物ばかり。
「後でこっそり集めて返せば、迷惑もかからないよ」
…って、バレたら凄く大変そうなんですが。
でも二人にとって大切なのは、早く薬を作って持って行く事。
事後に怒られて済むなら、材料を返して償えるならそれでいいんです。
「今おばあちゃんは店頭の魔法釜から目が離せないよ」
「大急ぎで作るの」
すずは大釜が六つ並んだ製薬室に材料を運び入れます。
ランカは空いている二つの釜を火にかけると、早速調合を始めました。
「最近怒られそうな事ばかりやってる気がするよ」
ランカが笑いながら呟くと、すずは申し訳なさそうに言います。
「ごめんなさいランカ。後で私が巻き込んだってちゃんと謝るの」
「ううん。アタシが好きで協力しているだけだよ。」
ランカはすずが大好きでした。
何事も一生懸命で他人思いで、アイドルになるなんて本気で言えちゃう彼女が羨ましくさえありました。
それに比べ自分は将来の目標どころか夢さえ見つかっていない。
箱庭魔法学校を首席入学したランカは成績こそ誰にも負けません。
でも…。
すずと一緒に過ごしたら、自分の考えや価値観を変えられる。
出会って一ヶ月もしないで親友と呼べる程仲良くなれたのには、そんな気持ちが働いたからかもしれません。
逆にすずは何故アタシと仲良くしてくれるのだろう?
友達になるのに条件や理由なんていらないハズなのに、そんな思いをいだく位いです。
ランカは白い小瓶の液体を数滴加えます。
「ねぇねぇ、黄昏の樹海で落下地点を見つけた時、すずは聞こえるって言ってたよね?
「うん? そうだった?」
「うん…。あまりムチャしちゃ駄目だよ」
訊きかけた質問をランカは飲み込みました。
すずとランカはドラゴンの為に、薬を探しに来ました。
…と言っても身体の大きな彼には大量の薬が必要です。
でもそんなに沢山買うお金は二人にありませんし、間違いなく不審がられてしまいます。
そこで倉庫の材料を拝借して、自分達の手で作ることにしました。
調合方法は普段からお手伝いしているランカが知っています。
「どれが必要なの?」
「えっと、そこの赤い瓶と、右に積んである麻布袋と…」
幸い必要な材料にそれほど高価な物は無く、時間をかけて探せば黄昏の樹海で見つかる物ばかり。
「後でこっそり集めて返せば、迷惑もかからないよ」
…って、バレたら凄く大変そうなんですが。
でも二人にとって大切なのは、早く薬を作って持って行く事。
事後に怒られて済むなら、材料を返して償えるならそれでいいんです。
「今おばあちゃんは店頭の魔法釜から目が離せないよ」
「大急ぎで作るの」
すずは大釜が六つ並んだ製薬室に材料を運び入れます。
ランカは空いている二つの釜を火にかけると、早速調合を始めました。
「最近怒られそうな事ばかりやってる気がするよ」
ランカが笑いながら呟くと、すずは申し訳なさそうに言います。
「ごめんなさいランカ。後で私が巻き込んだってちゃんと謝るの」
「ううん。アタシが好きで協力しているだけだよ。」
ランカはすずが大好きでした。
何事も一生懸命で他人思いで、アイドルになるなんて本気で言えちゃう彼女が羨ましくさえありました。
それに比べ自分は将来の目標どころか夢さえ見つかっていない。
箱庭魔法学校を首席入学したランカは成績こそ誰にも負けません。
でも…。
すずと一緒に過ごしたら、自分の考えや価値観を変えられる。
出会って一ヶ月もしないで親友と呼べる程仲良くなれたのには、そんな気持ちが働いたからかもしれません。
逆にすずは何故アタシと仲良くしてくれるのだろう?
友達になるのに条件や理由なんていらないハズなのに、そんな思いをいだく位いです。
ランカは白い小瓶の液体を数滴加えます。
「ねぇねぇ、黄昏の樹海で落下地点を見つけた時、すずは聞こえるって言ってたよね?
「うん? そうだった?」
「うん…。あまりムチャしちゃ駄目だよ」
訊きかけた質問をランカは飲み込みました。