傷ついた翼
文字数 988文字
すずを追って洞窟に入ったランカは激しく後悔しました。
尻尾を引っ張ってでも止めるべきだったと。
洞窟の奥に身を潜めていたのは、人間よりはるかに高い知性と精神、そして巨大で強靱な肉体を持つ生き物。
容姿はトカゲの親玉に角とコウモリの翼を付けた感じです。
地底人も大きかったですが、今回は桁が違いますね(汗)
「ドラゴン…」
彼女は息を飲みます。
頑強な竜鱗の皮膚は鋼の槍も弾き返し、吐き出す灼熱の炎は万物を一瞬で焼き尽くします。
彼がその気になれば町の1つや2つを壊滅させるなんて造作もありません。
蓄光石の弱い光に照らされるドラゴンは、より不気味で恐ろしく見えます。
すずは上から見下ろされる形で、でも堂々とした態度でじっと見上げていました。
【…子供の人間が魔法語を理解出来るとはな】
【喋ってお話するくらいなら簡単なの】
二人は魔法語で話しています。
ランカは言葉でコミュニケーションがとれている事を確認出来て少し安心しましたが、この後どうするか頭を悩ませました。
“人間”と“竜族”は長く交流を避けてきた間柄なのです。
大昔には戦争をした事もありました。
【紹介するわ。親友のランカなの】
ランカはすずの隣に並ぶと頭を下げます。
笑顔で挨拶したつもりの顔がひきつり、自分で分かる程の汗が吹き出ました。
ドラゴンは軽く会釈するとランカも交えて話し始めました。
【勇気も知恵も持ち合わせるお前達にならば話してもいいかも知れんな…】
散歩中にうっかり翼を怪我して飛べなくなった彼。
自分が人間の町に姿を現せば騒ぎになると考えて、洞窟に身を隠したと言います。
【俺が傷付いて動けないと知られれば、悪巧みを考える人間が現れるかもしれないしな…】
本当は魔法で竜族の仲間を呼びたいのですが上手くいきません。
結界が邪魔しちゃうんです。
早く怪我を治してこの場を離れたい。
それが彼の望みでした。
【放って置けないのは分かったよ。おばあちゃんに相談してみる?】
【大人には内緒にしてほしいの。騒ぎになるといけないから】
彼に不信感を与えない様に魔法語で相談します。
【まずは怪我を確認するの】
二人は彼の後ろに回り込みましたが、蓄光石の光では弱くてよく見えません。
すずは静かに魔法式を唱えます。
「光よ!」
かざした手の先に光が生まれる。
そして目の前の酷い怪我に悲鳴をあげました。
尻尾を引っ張ってでも止めるべきだったと。
洞窟の奥に身を潜めていたのは、人間よりはるかに高い知性と精神、そして巨大で強靱な肉体を持つ生き物。
容姿はトカゲの親玉に角とコウモリの翼を付けた感じです。
地底人も大きかったですが、今回は桁が違いますね(汗)
「ドラゴン…」
彼女は息を飲みます。
頑強な竜鱗の皮膚は鋼の槍も弾き返し、吐き出す灼熱の炎は万物を一瞬で焼き尽くします。
彼がその気になれば町の1つや2つを壊滅させるなんて造作もありません。
蓄光石の弱い光に照らされるドラゴンは、より不気味で恐ろしく見えます。
すずは上から見下ろされる形で、でも堂々とした態度でじっと見上げていました。
【…子供の人間が魔法語を理解出来るとはな】
【喋ってお話するくらいなら簡単なの】
二人は魔法語で話しています。
ランカは言葉でコミュニケーションがとれている事を確認出来て少し安心しましたが、この後どうするか頭を悩ませました。
“人間”と“竜族”は長く交流を避けてきた間柄なのです。
大昔には戦争をした事もありました。
【紹介するわ。親友のランカなの】
ランカはすずの隣に並ぶと頭を下げます。
笑顔で挨拶したつもりの顔がひきつり、自分で分かる程の汗が吹き出ました。
ドラゴンは軽く会釈するとランカも交えて話し始めました。
【勇気も知恵も持ち合わせるお前達にならば話してもいいかも知れんな…】
散歩中にうっかり翼を怪我して飛べなくなった彼。
自分が人間の町に姿を現せば騒ぎになると考えて、洞窟に身を隠したと言います。
【俺が傷付いて動けないと知られれば、悪巧みを考える人間が現れるかもしれないしな…】
本当は魔法で竜族の仲間を呼びたいのですが上手くいきません。
結界が邪魔しちゃうんです。
早く怪我を治してこの場を離れたい。
それが彼の望みでした。
【放って置けないのは分かったよ。おばあちゃんに相談してみる?】
【大人には内緒にしてほしいの。騒ぎになるといけないから】
彼に不信感を与えない様に魔法語で相談します。
【まずは怪我を確認するの】
二人は彼の後ろに回り込みましたが、蓄光石の光では弱くてよく見えません。
すずは静かに魔法式を唱えます。
「光よ!」
かざした手の先に光が生まれる。
そして目の前の酷い怪我に悲鳴をあげました。