白み始めた空
文字数 990文字
「本当に私ではないんですよ…」
そう訴える長身の彼はイナバ。
白ウサギの様な長い耳は普段真っ直ぐ上に伸びているのですが…
今は二重に玉結びされています。
「あの場にオマエ以外の誰が居たってんだヨ!!」
犯人は同じく長身のガラッパ。
山羊の様なカーブのある角と尻尾がチャームポイントの女の子です。
赤く長い髪は毎日丁寧にブローしているのですが、粗雑な振舞いが仇となり、よくボサボサに逆立っていました。
2つ星のクラスでは御約束。
一方的なガラッパのイナバ弄りがようやく収まり、二人は星読みの塔へ戻ります。
「ちゃんと探せヨ!! 3ミリで見つかったダロ!!」
鍵は螺旋階段の一段目に落ちていました。
「これは…?」
イナバは鍵を拾うと、三重玉結びする彼女を半ば無視して司書室前に向かいます。
東の空が白み始め、もうすぐ紫の黄昏が終焉を迎えようとしていました。
一方、短い時間でしっかり内容を読み込んだランカ。
三人は直ぐに温室へ戻りました。
「大丈夫。特別な材料や道具はいらないよ」
ガーデンテーブルを除けた煉瓦の床。
直径1メートル程度の二重の円に見慣れた図形や魔法語を描き込んでいきます。
それは調べたばかりの魔方陣。
基本をしっかり押さえている彼女にはわりと簡単でした。
中心には集めた言霊石の欠片と小振りなルビー。
準備を終えた時。
もう時計の針は3時を回っていました。
間に合うのでしょうか?
すずとランカは両手を繋いで魔方陣を囲みます。
“砕けた言霊石のチカラを移す法”
それは危険な賭け。
もし砕けた石に吹き込まれていたチカラが暴走したら…
何が起きるか分かりません。
爆発をおこして消し飛んでしまう可能性だってあるんです。
でも時間も技術も魔力も無い2人にはこの方法しかありません。
リリーは胸の上に両手を組んでお祈りを捧げ…
いや、小瓶を背中に準備します…?
「いくよ」
ランカの言葉にすずは頷いて瞳を閉じました。
2人が魔法式の詠唱を始めます。
やがて弱い風がおこり髪が騒ぎ始めました。
まぶたにチカラが入り、唇を固く結びます。
パシッと弾ける音。
するとリリーは小瓶を抱えて魔方陣に入って行きました…?
刹那、中心から暗い煙が立ち上ぼり彼女の視界を遮ります。
『…チッ』
少しして煙が晴れると、魔方陣の上には赤く透明な石が煌めいていました。
朝日の光を浴びて…。
そう訴える長身の彼はイナバ。
白ウサギの様な長い耳は普段真っ直ぐ上に伸びているのですが…
今は二重に玉結びされています。
「あの場にオマエ以外の誰が居たってんだヨ!!」
犯人は同じく長身のガラッパ。
山羊の様なカーブのある角と尻尾がチャームポイントの女の子です。
赤く長い髪は毎日丁寧にブローしているのですが、粗雑な振舞いが仇となり、よくボサボサに逆立っていました。
2つ星のクラスでは御約束。
一方的なガラッパのイナバ弄りがようやく収まり、二人は星読みの塔へ戻ります。
「ちゃんと探せヨ!! 3ミリで見つかったダロ!!」
鍵は螺旋階段の一段目に落ちていました。
「これは…?」
イナバは鍵を拾うと、三重玉結びする彼女を半ば無視して司書室前に向かいます。
東の空が白み始め、もうすぐ紫の黄昏が終焉を迎えようとしていました。
一方、短い時間でしっかり内容を読み込んだランカ。
三人は直ぐに温室へ戻りました。
「大丈夫。特別な材料や道具はいらないよ」
ガーデンテーブルを除けた煉瓦の床。
直径1メートル程度の二重の円に見慣れた図形や魔法語を描き込んでいきます。
それは調べたばかりの魔方陣。
基本をしっかり押さえている彼女にはわりと簡単でした。
中心には集めた言霊石の欠片と小振りなルビー。
準備を終えた時。
もう時計の針は3時を回っていました。
間に合うのでしょうか?
すずとランカは両手を繋いで魔方陣を囲みます。
“砕けた言霊石のチカラを移す法”
それは危険な賭け。
もし砕けた石に吹き込まれていたチカラが暴走したら…
何が起きるか分かりません。
爆発をおこして消し飛んでしまう可能性だってあるんです。
でも時間も技術も魔力も無い2人にはこの方法しかありません。
リリーは胸の上に両手を組んでお祈りを捧げ…
いや、小瓶を背中に準備します…?
「いくよ」
ランカの言葉にすずは頷いて瞳を閉じました。
2人が魔法式の詠唱を始めます。
やがて弱い風がおこり髪が騒ぎ始めました。
まぶたにチカラが入り、唇を固く結びます。
パシッと弾ける音。
するとリリーは小瓶を抱えて魔方陣に入って行きました…?
刹那、中心から暗い煙が立ち上ぼり彼女の視界を遮ります。
『…チッ』
少しして煙が晴れると、魔方陣の上には赤く透明な石が煌めいていました。
朝日の光を浴びて…。