深紅の瞳のリリー
文字数 945文字
「妖精?」
透き通る様な白い肌に少し癖毛なブロンドの髪。
背中には薄く透明な羽があって、パタパタ羽ばたくと輝く鱗粉が軌跡を描きます。
血の様に深く赤い瞳が印象的で、自信に満ちた表情と鋭い眼差しが小悪魔の雰囲気。
すずの肩に乗れてしまう程小さい女の子(?)です。
「アタイは“リリー”だ」
そう名乗った妖精は注意深く辺りを見回します。
いいだけ高い声で騒いでおいて無意味な気がしますが。
「ここはどこだい?」
「箱庭の学生寮なの。…まさかこの扉から出てきたの?」
「お前達は誰だい?」
「アタシはランカ。彼女はすず。魔法学校の学生よ。リリーさんは何に属しているの?」
「アタイの事はリリーでイイよ」
・・・・・・。
あ、ランカが訊いた“属”は“属性”の事。
妖精とは“精霊”等から命を与えられた従者で、創造主のチカラやセンスにより様々な姿をしています。
一般的に水の精霊が妖精を生み出せば水の属性。
木の精霊が生み出せば木の属性を持つ妖精になります。
妖精に属性を訊けば“どんな役割を与えられているのか”が、だいたい分かるのです。
しかしリリーは二人の質問に一切答えず、ぐるぐる飛び回りながら考え事をしています。
妖精は自由気ままで主以外の言う事を聞かないのは有名なんですが、ちょいと少し感じ悪いですね。
「そうだ、早く隠さないとな」
言うなり倒れた石像に一直線。
端を持って一生懸命に持ち上げようとします。
しかし…当然ですがピクリとも動きません。
「なにボサっとつっ立ってるんだい? アンタ達も手伝うんだよ!」
つか、完全にやらせる気ですよね。
二人は彼女の勢いにおされて駆け寄ります。
「綺麗な顔…」
すずは思わず声にしていました。
モデルは中性的な顔立ちの美少年。
格調高い服がよく似合っています。
恐らく歳は自分達と変わりません。
魔法を使う瞬間を表現した作品なのでしょう。
目を閉じて呪文を詠唱している様子で杖を構えています。
その石像はとても精巧に作られていて今にも動きそうでした。
「ねぇねぇ、靴の裏まで彫り込まれているよ。どうやって展示するんだろう?」
色々と不可解な事が多く訊きたい事がたくさんありますが…
まずは3人(?)でギリギリ持ち上がる重さの石像を温室へ運びます。
透き通る様な白い肌に少し癖毛なブロンドの髪。
背中には薄く透明な羽があって、パタパタ羽ばたくと輝く鱗粉が軌跡を描きます。
血の様に深く赤い瞳が印象的で、自信に満ちた表情と鋭い眼差しが小悪魔の雰囲気。
すずの肩に乗れてしまう程小さい女の子(?)です。
「アタイは“リリー”だ」
そう名乗った妖精は注意深く辺りを見回します。
いいだけ高い声で騒いでおいて無意味な気がしますが。
「ここはどこだい?」
「箱庭の学生寮なの。…まさかこの扉から出てきたの?」
「お前達は誰だい?」
「アタシはランカ。彼女はすず。魔法学校の学生よ。リリーさんは何に属しているの?」
「アタイの事はリリーでイイよ」
・・・・・・。
あ、ランカが訊いた“属”は“属性”の事。
妖精とは“精霊”等から命を与えられた従者で、創造主のチカラやセンスにより様々な姿をしています。
一般的に水の精霊が妖精を生み出せば水の属性。
木の精霊が生み出せば木の属性を持つ妖精になります。
妖精に属性を訊けば“どんな役割を与えられているのか”が、だいたい分かるのです。
しかしリリーは二人の質問に一切答えず、ぐるぐる飛び回りながら考え事をしています。
妖精は自由気ままで主以外の言う事を聞かないのは有名なんですが、ちょいと少し感じ悪いですね。
「そうだ、早く隠さないとな」
言うなり倒れた石像に一直線。
端を持って一生懸命に持ち上げようとします。
しかし…当然ですがピクリとも動きません。
「なにボサっとつっ立ってるんだい? アンタ達も手伝うんだよ!」
つか、完全にやらせる気ですよね。
二人は彼女の勢いにおされて駆け寄ります。
「綺麗な顔…」
すずは思わず声にしていました。
モデルは中性的な顔立ちの美少年。
格調高い服がよく似合っています。
恐らく歳は自分達と変わりません。
魔法を使う瞬間を表現した作品なのでしょう。
目を閉じて呪文を詠唱している様子で杖を構えています。
その石像はとても精巧に作られていて今にも動きそうでした。
「ねぇねぇ、靴の裏まで彫り込まれているよ。どうやって展示するんだろう?」
色々と不可解な事が多く訊きたい事がたくさんありますが…
まずは3人(?)でギリギリ持ち上がる重さの石像を温室へ運びます。