第22話 第三の出発

文字数 677文字

 出発にあたって、ハーレイは、旅行者のマントと、キリス・ギーのバルクを要求した。今度の旅は長くなりそうだし、二人で行くので、全ての食べ物を持っていくことはできない。それで、一晩でいつも一杯になる、あの魔法のバルクが必要だったのだ。
 マントはハーレイが身につけ、バルクはノールが持った。
「マントは食べられないからね」
と、ノールは言ったものだ。
 みんなに送られて、二人は出かけた。
 旅行は、おおむね順調だった。途中、ハーレイは足を痛めたが、すぐ直った。
 今度は、一人じゃなかった。
 のっぽのノールも一緒だ。
 ノールは、ルーンの木や、ニンゲンのいるという北へ行こうと言った。そして、ハーレイは、それもいいけど、ミズウミが見たいと言った。
 ハーレイは、原旅行者の書いた『旅行記』に、「ルウィンラーナの北、そこには湖がある」というのを見つけていた。
 ノールに、そこを読んで聞かせ、二人は、その「湖」の光景に夢中になってしまったのだ。
「ルーンの木と、ニンゲンはあとでいいよ。まずミズウミへ行こう」というわけ。
 二人は、湖を目指し、進んでいく。
 
「このへんで、ひと休みしよう」
 遠く、山へと連なる森まで来て、二人は食事を取った。
「湖には、サカナがいるんだろうな」
 パムをほおばりながら、ノールが言った。
「もちろんさ。君より大きいのもいるかも」
 ハーレイは、ノールを見ながら言った。
「まさか。うそだろ」
「どうする。かけてもいいよ」
「へえ。でも、そんな大きなのが、よく沈まないね」
「あたり前じゃないか」
 ハーレイは、笑っている。
「サカナだもん!」それは、楽しい食事だった。
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