第45話 アトロス島で

文字数 364文字

 アトロス島の王宮。
 クロフス王は、食事の後で、ゆっくりとくつろいでいた。そこへ、入って来た者がいる。
「やあ。お前か」
 それは、シベリン王子だった。王子は、いずれクロフス王の後を継ぐ身だ。
「クロフス王。ニコの国が、襲撃されたそうですが」
「らしいな」
「助けを送らないのですか。知らぬふりは、できないでしょう」
「うむ。しかし、今の時期を過ぎれば、ハイトの収穫だ。多くの人手を、いつ終わるか知れない戦いに行かせるわけにはいかない」
 王はそう言って、いすに深く体をあずけた。
 シベリン王子は、困った顔をした。
 
 ネムとミスアは、まだこの国ヘ到着していない。
 今ごろは、ガダル川の河口から、こちらの島へ、船を乗り出したところだろう。しかし、ニコの国が、ダールの襲撃を受けたという知らせは、その使者たちより早く、人間たちの間に広まっていた。
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