第75話 フローガ
文字数 561文字
そこには、邪悪な空気がみなぎり、ゼルは、押しつぶされそうだった。早く出ようと走ったが、出口がわからない。息も切れてきた。
「知ってるぞ」
ゼルは、自分に負けないよう、言い続けた。
「そう、思い出した。こいつは、迷路だ。前に聞いたことがある。昔話じゃ、迷路には……化け物がすんでる」
彼は、おびえていた。
何かが、やって来るようだった。
ゼルは、まわりの空気にしめつけられるように感じ、ふるえた。
迷路にすむ化け物、フローガ。ルーンにとらわれた、三体の怪物”キーゴン”の生き残り。
フローガは、何かが自分の住みかに侵入したことを、感知した。人間のかすかな声をのがさず、その位置を知った。フローガの体からすれば、人間の所まで、迷路の壁を乗り越えて行くことは、簡単なことだ。
しかし、この怪物を駆り立てるものは、昔のままの本能なのだ。フローガは、迷路の掟を守った。そして、久しぶりの獲物に、狂ったような叫びを上げた。
ゼルは、その声で、怪物の存在を知った。逃げるように、場所を変えた。
こいつを倒せば、出られるかもしれない、と思った。逃げたところで、いつかは会ってしまう。何しろ、こっちは、相手の食い物らしいから。
もし戦うとして、やれるのか? という不安があった。
ふっと前の横道から、何かが回りこんできた。
敵と、出会った。
「知ってるぞ」
ゼルは、自分に負けないよう、言い続けた。
「そう、思い出した。こいつは、迷路だ。前に聞いたことがある。昔話じゃ、迷路には……化け物がすんでる」
彼は、おびえていた。
何かが、やって来るようだった。
ゼルは、まわりの空気にしめつけられるように感じ、ふるえた。
迷路にすむ化け物、フローガ。ルーンにとらわれた、三体の怪物”キーゴン”の生き残り。
フローガは、何かが自分の住みかに侵入したことを、感知した。人間のかすかな声をのがさず、その位置を知った。フローガの体からすれば、人間の所まで、迷路の壁を乗り越えて行くことは、簡単なことだ。
しかし、この怪物を駆り立てるものは、昔のままの本能なのだ。フローガは、迷路の掟を守った。そして、久しぶりの獲物に、狂ったような叫びを上げた。
ゼルは、その声で、怪物の存在を知った。逃げるように、場所を変えた。
こいつを倒せば、出られるかもしれない、と思った。逃げたところで、いつかは会ってしまう。何しろ、こっちは、相手の食い物らしいから。
もし戦うとして、やれるのか? という不安があった。
ふっと前の横道から、何かが回りこんできた。
敵と、出会った。