第57話 会合

文字数 479文字

 ガダル川ちかく、野営する人間たちの部隊へ、森の人たちがやって来た。
 キャサのように、一人で、先に来る者もいたが、今回は大勢だ。
 その数は、百人を超える。率いるのは、族長のリルアだ。みな弓の名手とあって、人々は大喜びした。
 森で、弓の「第一の使い手」といわれる、ドワンも来ていた。
 ドワンは、矢を作る天幕にいて、作り手にある注文をしていた。
「そうだ。矢の先にカギをつけてくれ。ささったら、ぬけないようにするんだ」
 その天幕に、使いの者が入ってきた。
「ドワン。リルアが呼んでるよ」
「わかった」
 ドワンは、そこを出ると、族長の天幕へ行った。
 リルアが、問う。
「新しい弓と矢は、どうか」
「ええ。どちらも、もう少しです。使うのは、でも、まだ先でしょう?」
「急いだ方がいいさ。戦いが始まれば、お前は、単独で動いてかまわない。とにかく、敵を消せ」
「はい」
 彼は、自分の天幕へもどった。作りかけの弓を、自分で完成させるためだ。
 何度か、ダルトーの部隊と、小ぜり合いがあった。人間たちに、大した被害は出なかった。
 それは、ダールが、次の攻勢のために送った、偵察だったからだ。
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