紙の本を作ろうと思った理由

文字数 1,612文字

いつもミムラアキラの作品を読んでくださって、ありがとうございます。
毎晩、少しずつながらPVが増えると、本当に奇跡のように思います。

だって、すごくないですか。
私はあなたにお会いしたことがないのに、
あなたは私の心の中をご存じなんです。

そしてあなたは、私に会ったりなんだり、そんな面倒なことをしなくていい。
ただ楽しんでくださればいいんです。
らくちんー。(お互い!)

それでじゅうぶんなのに、わざわざ紙の本も出してみよう、と思ったのは、
けっしてWeb小説を「下に見ている」からではありません。
紙の本を売ってお金を儲けたくなったからでもありません。
じっさい、儲かる見こみはいまのところ、ぜんぜんありません。笑
大赤字です。出費を回収できる見とおしさえ立っていません。笑

紙の本を作ろうと思った理由は、
この世には、紙の本を好きな人が、まだまだたくさんいるからです。
そして、紙の本を好きな人は、たぶんWeb小説を読む時間がありません。
だから、そういう人たちにも読んでほしいなら、紙の本を作らなきゃねと思ったのです。

私も、紙の本が好きな一人です。
とくに理由はありません。紙の本というモノが好きです。
コーヒーが好きであることに理由がないのと同じです。
コーヒーを好きな人に
「べつにコンポタ飲めばよくない?」
と言っても意味ないですよね。笑
紙の本を好きな人に「べつにWebで読めばよくない?」と言うのは、それと同じくらいナンセンスな気がします。

そして。(ここから先を読んでほしい!)
コンポタがコーヒーの代わりにはならないように、コーヒーもまた、コンポタの代わりにはなりません。
私がノベデイに出会って知った、いちばん面白いことの一つは、これでした。
WebにはWebにしかない良さがあります。
まず、速い。
私がいま、指でスマホをとんとんして(この文章はスマホで書いています)、
もしかしたら数分後には、もうあなたが読んでくれているかもしれません。
光速!

紙の本は、そうはいきません。
出来上がって届くまでに何ヵ月もかかったりします。
そのとき、その未来のいつか、あなたが出会ってくれる私は、今の私で、
なんだかタイムカプセルみたいですよね。
ウラシマ効果。

それもまた、素敵だと思うのです。

この数年、ちょうどノベデイに書きはじめてから、
世界では新型コロナウイルスが猛威をふるい、
昨日あったお店が今日はもうない、または今日はまだあるけど明日はわからない、というひりひりした毎日が、はてしなく続き、
個人的には、父を亡くすという経験をし、

私の中に、川底に落ち葉が積もるように、少しずつ積もっていった感覚は、
私もまた、いつまでも生きているわけではないよね、
という思いでした。
それは、昨年の暮れに心停止を経験したことで、より確かなものになりました。

あたりまえのことですから、べつに恐怖や絶望ではないんです。
余命宣告とかもされてないし、笑
あと二十年くらいは生きる気まんまんなんです。笑
ただ、
来月や来年の計画を立てて、それに向かって夢中で何かしていても、ふと、
そのときまで生きている保証はないよね、
なんて思ったりします。
当日、雨が降るかもしれないよね、と思うのと同じ感じで。
 
投稿サイトは、例えば、いつ閉鎖になるかわかりません。
ならなくても、例えばサーバーがダウンして、私のページだけ修復不可能になって、二度と読めなくなるかもしれません。
Webだからしかたないんです。それがWebのリスクです。
その点、紙の本は──

いつかは塵に帰るものだとしても、
Webよりほんの少し、長く、確かに、
私たちのそばにいてくれます。

だから、紙の本にしようと思ったのです。

私の作品たちは、私が生きているあいだ面倒をみて、
それこそ、花に水をやるように。
そして私が生きているあいだに、私が紙の本にしておかないと、
たぶん誰もしてくれそうにありません。笑

だから、自分で、紙の本にしようと思ったのです。
それだけのことです。
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