第43話

文字数 737文字

いつものソファーに健斗さんとふたり並んで、まったりとしていた。
本当になんとなく、健斗さんの脇腹のあたりをくすぐってみた。
でも反応はない。

「……何ですか」
「健斗さんってくすぐったくならないんですか?」
「そうですね、特には」
「何にも感じない感じ?」
「こそばゆい感覚はありますよ。でも、そこまで悶えるほどではないです」
「ふーん……一通りくすぐってみてもいいですか?」
「ふふっ、どうぞ」

いろんなところをくすぐってみるものの、健斗さんは一向に反応しない。
むしろ、必死でくすぐっている私を見て、余裕の笑みを浮かべている。

「つ、強い……」
「そうですか。では、今度は私の番ということで」
「へっ?ちょっ、あっ、うひひひっ……」

もう本当に馬鹿みたいに笑って悶えているのに、健斗さんは手を緩める気配がない。

「ひひっ、ひひひっ……ちょっ、もっ、ダメ……」
「なるみさんは本当に弱いですねぇ」

満足したらしい健斗さんが息も絶え絶えといった感じの私の頭を撫でた。

「顔、真っ赤ですよ」
「はぁ……健斗さんのせいじゃないですか」
「ふふっ、可愛いですね」
「毎日私がくすぐったら、健斗さんも少しは悶えるようになりますかね」
「さぁ、どうでしょう。こればかりは昔から全然効かないもので。そもそも、そんなに私を悶えさせたいんですか?」
「健斗さんが悶えてるところ、見てみたいんですもん」
「ベッドの上だとそれなりに悶えていると思うんですけど」
「うっそだぁ。健斗さんはいっつも余裕で私ばっかり悶えてますもん」
「それはなるみさんが悶えすぎているだけでは?」
「……そう言われればそうなのかも……えっ、私、頑張って我慢したほうがいいですか?」
「ふふっ、そのままでいいですよ。私は私でなるみさんを悶えさせたくて頑張っているわけですから」
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