第4話

文字数 3,609文字

(健斗さん目線)
仕事が終わって、明日は休み。
なるみさんも仕事を終えて、私の家にやってきた。
今日は泊まるとのこと。
仕事の打ち合わせで差し入れをもらったと、嬉しそうにチョコレートを机の上に広げる。
ひとつひとつが大きく、食べにくそうではあったものの、袋から出した途端に甘い香りが広がる。
いつものようにソファーに隣り合わせで座り、ふたりでテレビを見る。
なるみさんと付き合うようになってそれなりの時間が経ったが、本当にこういう何気ない日常も幸せだと思える。
「チョコレート、おいしいですか?」
「おいしいですよ、食べにくいけど。健斗さんは食べないんですか?」
「私はあとで」
あとでコーヒーでも入れながら……と思っていると、なるみさんが甘えるようにすり寄ってきた。
ああ、可愛いなと思っているとなるみさんがこう言った。
「ねぇ、健斗さん……ちゅーして」
アニメや漫画で衝撃的な出来事に出くわしたときに眼鏡がパリンと割れる表現があるが、今まさにそれを体感している。
さんざんやることはやっているのに、いまだになるみさんは何をするのにも恥じらう。
もちろん、そういうところも好きなのだが、普段のなるみさんからは考えられない発言だった。
「……どうしたんですか?」
「嫌?」
「……嫌なわけないでしょう」
不安げに瞳を潤ませる彼女を見て、たまらなくなってすぐにキスをした。
すると、チョコレートと一緒に洋酒の香り。
チョコレートのパッケージを確認してみると、まさかのウイスキーボンボン。
なるみさんはお酒に弱い。
それも極端に。
「なるみさん、酔いましたね?これ、ウイスキーボンボンですよ」
「ああ、それでちょっと変な味が……でも酔ってないです」
「酔ってますよ……」
「だって意識もはっきりしてますよ?」
そう言うなるみさんの頬は少し赤く、目もとろんとしている。
お酒に弱いからと普段からお互いにお酒を飲まないようにしている。
そのため、酔ったところというのはお互いに滅多に見ない。
現に、酔っているらしいなるみさんを見るのもこれが初めてだ。
「それより……もっとしてくださいよ」
そう言って、キスをねだるなるみさん。
無論、それを断るわけがない。
何度も何度もキスを重ねる。
軽いキスがどんどん深くなっていく。
彼女の甘い口内を舌で犯していくと、甘い声が漏れる。
苦しくなった彼女が私のキスから少し強引に逃げて、抱き着く。
「ベッドで続きしてほしいです……」
なるほど、なるみさんは酔うと積極的になるのか……などと思いながら、内心では自分でもかつてないほどの高まりを感じていた。
そのまま抱き上げて、なるみさんをベッドに運ぶ。
「んふふ、脱がせて?」
嬉しそうな顔をしている彼女の服を手早く脱がせる。
いつもなら恥ずかしいと体を手で隠すのに、それもせずにすべてが露わになる。
「健斗さんも早く脱いでくださいよ」
そう促されて、私も服を脱ぐ。
この状況なら理性が飛んでも許されるだろうか。
ベッドの上に座り私が脱ぐのを待っていた彼女に、キスをしてそのまま押し倒す。
貪るようなキスをして、そのまま首筋から胸に、胸から彼女のもっとも敏感なところに舌を這わしていく。
いつから濡れていたのかわからないが、そこはすでにとろけきっていた。
中に指を埋めながら舌でクリトリスを舐めては吸い上げる。
「あっ、あっ……」
いつもは声を必死で堪えるのに、今日は最初から大きく喘いでいる。
腰の動きも激しい。
もっともっとと私の顔に擦り付けてくるように、いやらしく腰をくねらせる。
そのうち、彼女の呼吸が荒くなり、いつもより早くにいってしまった。
「あぁん……んん……気持ちいい……」
恍惚とした表情でそう言われると、たまらなくなってしまって慌ててゴムを着ける。
普段なら前戯でもっと何回もいかせるのに、自分のものが限界だった。
すぐに自分のものを彼女の中に沈めていく。
彼女のいいところだけをしつこくしつこく刺激していくと、彼女の声がどんどん大きくなっていく。
「やぁっ、いいっ、気持ちいいっ……」
いつもと違って、恥じらうことなく快感のままに乱れている。
彼女に打ち付ける腰の動きがどんどん速くなり、いつもよりも早くに出してしまった。
いった後のとろけた顔のままキスをせがんでくる彼女。
今日は本当にまずいな……と思いながらも、彼女を食べるようにキスをした。
「……健斗さん」
「何ですか?」
「その……本当にダメなときはダメって言うから……今日はいってもいってもやめないでほしい……」
その後は彼女のご希望通り、彼女をただただいかせた。
口で舌で指で、そして自分のもので。
途中で彼女が「本当にダメ……」と懇願するような声を上げたが、まだ余裕がありそうだと判断して休ませなかった。
普段なら絶対に聞けないような悲鳴に近い喘ぎ声にゾクゾクしてしまう。
私のほうがバテてしまいそうになって、ようやく休憩を挟んだものの、なるみさんの体は何度目かわからない絶頂でビクビクと痙攣が止まらないようだった。
このまま朝まで……というのもいいが、腰がさすがに疲れてきた。
そこで普段なら絶対に断られてしまうことをあえてお願いしてみた。
「……なるみさん、私の上で動いてもらえませんか?」
ぼんやりとした表情の彼女はコクリと頷くと、すぐに私の上にまたがってきた。
いつもは恥ずかしいから絶対にダメと言うのに、今は私のものに手を添えて、切なそうな声を出しながら私の上で腰を沈めている。
正直なところ、こううまくいくとは思っていなかったので面食らってしまった。
「はぁ……どう動けばいいですか……?」
「そうですね……気持ちいいところを探して自分で当ててみてください」
すると、彼女は目を閉じながら腰を前後に動かし、私のものをいいところに当てようと探る。
いいところに擦れると声を漏らし、腰をビクンと跳ねさせる。
それを何度か繰り返すうちに、彼女の中が私のものをゆるく締め付けた。
「んっ……ちょっとだけいっちゃいました……」
へらっとした笑顔が可愛くて、自分のものがまた大きくなる。
「ちょっとだけですか。それならしっかりいかせてあげましょう。ほら、ここにこうやって当てるんですよ」
そう言って、手で彼女の腰をつかむと自分のものへと打ち付ける。
自分で動いていたときとは比べものにならない快感で、彼女の背中が弓なりになる。
「あっ、だめぇっ!またっ……いっちゃう……」
彼女の全身が大きく跳ねて、先ほどよりも明らかに強い締め付けを感じる。
なるみさんはそのまま私の上半身に倒れ込んできた。
その背中に手を回して、幸福感に浸る。
そのまま上半身を起こして、つながったままの彼女を抱きしめ、キスをする。
彼女は相変わらずとろんと潤んだ目で私を見ている。
「……気持ちよすぎて死んじゃう……」
「それは困ります。もうやめますか?」
「やめちゃダメ……もっと……」
的確に私の理性を飛ばすような台詞を言う彼女。
結局、彼女が意識を飛ばすまで何度も何度も抱いた。
朝目覚めると、すさまじい疲労感に襲われた。
自分でもよくもまぁここまでやってしまったなと思った。
ふと横を見ると、なるみさんはまだ寝ている。
普段の恥じらっている彼女もいいが、昨晩のような彼女もいい。
ただ、あれが毎日だとお互いに体がもたないな……などと考えながら、彼女の頭や頬を撫でる。
すると、彼女も目を覚ました。
「おはようございます」
「ん……おはよう……ございます……」
「昨日のこと、どこからどこまで覚えてます?」
「どこから……?えっと……」
「ソファーでチョコを食べていたのは?」
「うん……覚えてますよ……」
「ソファーでキスしたのは?」
「……覚えてますね……」
「その後、ベッドに行ったのは?」
「……お、覚えてます……」
ソファーでのキスあたりから徐々に彼女の顔が赤くなっていき、しまいには耳まで真っ赤になっていた。
「昨日はだいぶ積極的でしたけど」
「わ、忘れてください……」
「忘れられるわけないでしょう。なるみさん、激しいほうがお好みですか?普段のでは物足りなかったですか?」
「ち、違います!違うんです……うぅ……健斗さんとするのいつもすごく気持ちいいんです……」
「ほう」
「だから……その……私ばっかり気持ちいいから、健斗さんが満足するまでめちゃくちゃにしてほしいというか、なんというか……」
「……私が満足するまでとなると、三日三晩になるかもしれませんよ?」
「そ、そんなに……?私じゃ物足りないですか……?」
「違いますよ。なるみさんがよすぎて、何度もしたくなるんです。私も自分では淡泊なタイプだと思っていたので、こうなって驚いてます」
「そ、そうですか……4日以上の連休があったらその……み、三日三晩でも……」
「……すぐに最短でいつ連休が取れるか確認しないといけませんね」
これからはウイスキーボンボンを家に常備しておいたほうがいいのかもしれない。
そんなことを考えながら、いつものように恥じらう彼女を抱くのだった。
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