第38話

文字数 2,407文字

「……本当に大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です……」

今日、とうとう健斗さんと最後まで致す。
変な話、途中まではさんざんしてきた。
私が最後までするのは初めてだからと慣らす意味でも、健斗さんのものを入れる手前まではしていたのだけど、それはそれで気持ちよくて、ずるずるとタイミングを逃してきた。
健斗さんも気を遣ってくれていたところはあると思う。
今はまさに健斗さんが私の上に乗って、あとは入れるだけの状態。
今までで一番緊張しているかもしれない。

「痛かったら言ってください。無理をするのはなしです」
「わ、わかりました」

健斗さんのものがあてがわれて、ゆっくりと中に入ってくる。
痛いわけではないけど、めりめりと押し広げられるような感覚に思わず声が漏れてしまう。

「……大丈夫ですか?」
「大丈夫です……痛いわけじゃなくて、ちょっと苦しいだけだから……」

指とは比較にならない太さ、質量ものが入ってくる。
力を入れないほうが楽なのはわかっているのに、今力が入っているのか入っていないのかすら自分でも判断できない。

「は、半分くらい入りました……?」
「……いえ、まだ先のほうだけです」
「そ、そうですか……」
「このまま続けても大丈夫そうですか?」
「はい……」

ゆっくりと健斗さんものが私の中へと沈んでいく。
自分で思っていたよりもずっと奥のほうまで入ってくるし、圧迫感もすごい。
緊張で呼吸も荒くなってしまう。

「……なるみさん、大丈夫ですか?」
「たぶん大丈夫です……い、今ってどれくらい?もう全部入りました……?」
「今で半分くらいですね」
「そ、そうですか……」
「……今日はここでやめておきますか?」
「やだ……ちゃんと全部入れてほしいです……」

そう言った後、とんでもなく恥ずかしいことを口走ってしまったと両手で顔を覆った。
すると、健斗さんが私の手を優しくどかして、軽くキスを落とした。

「……本当に痛くないですか?」
「痛くないです……」
「……じゃあもう少しだけ頑張ってください」

健斗さんのものがどんどん入ってきて、中がいっぱいになっていく。
貫かれるって表現は別に大袈裟な表現じゃないのかも……なんて考えていると、しばらくして健斗さんの動きが止まった。

「……全部入りましたよ」
「へっ?あっ……」

改めて見てみると確かに健斗さんのものを全部のみ込んでいて、その状況が急激に恥ずかしくなってきた。
また両手で顔を覆ってしまう。

「なんか恥ずかしい……」
「そうですか。それよりも痛みはないですか?」
「痛くはないです」
「さっき苦しいと言っていましたけど、まだ苦しいですか?」
「ん……もう大丈夫かもしれないです。でもなんか……」
「何です?」
「健斗さんので中がすごいいっぱいな感じがします……」
「……なるみさんは時々、無意識に私を煽りますね」
「ち、違っ、あっ……」

健斗さんがクリトリスを指でこねるように刺激してきた。
中がぎゅっと締まって、健斗さんのものの輪郭が自分でも感覚でわかる。

「感じる余裕はありそうですね。少し動きますよ。痛かったら言ってください」

クリトリスはぐりぐりと容赦なく刺激されているのに、中では健斗さんものが本当に優しくゆっくりと動く。
自分の中をとてつもなく大きなものが往復しているような感覚。
そのうち、クリトリスに与えられる快感のほうが勝って、健斗さんのものが入ったままの状態でいってしまった。
中が健斗さんのものを搾り取るように動いているのが自分でもわかって、たまらなくなってしまう。

「はぁ……はぁ……いっちゃいました」
「ふふっ、そうですね。よかったですか?」
「よかったです……今度は健斗さんの番……いっぱい動いていいから……」
「わかりました……でも、痛かったらちゃんと言うんですよ?」
「はい……」

最初はゆっくりと動いていた健斗さんだったけど、どんどん腰を打ち付けるペースが速くなっていく。
突かれるたびに自分から自然と甘い声と息が漏れてしまう。
私の上にいる健斗さんにいつものような余裕はない。
その苦しそうな表情ですらも、ああやっぱり素敵だなと思ってしまう。
ぐっと奥まで突かれると同時に、健斗さんがはぁと大きく息を吐いた。
健斗さんのものが私の中でびくびくしているのがわかる。
肩で息をしている健斗さんが倒れ込むように、私の肩に顔を埋める。
その背中に手を回して、おそるおそる聞いてみる。

「き、気持ちよかったですか……?」
「ああ……もう……最高です……」
「んふふふふっ、嬉しいです」
「はぁ……しばらくこのままでいてもいいですか?」
「ふふふっ、いいですよ」

つながったまま抱きしめ合って、こんな幸せな瞬間があっていいのかなと思ってしまう。
呼吸が落ち着いてくると、健斗さんが顔を上げて何度も何度も角度を変えてキスをしてくれた。
ゴムを処理するために健斗さんのものが抜かれると、もともとずっとそこにあったものが引き抜かれるような感覚になった。
ベッドの中で向き合って、なんとなくお互いの体を確かめるように触れる。
致す前の緊張感が嘘のように、幸福感に満ちていた。

「健斗さん」
「何ですか?」
「とうとう初めてを捧げてしまいましたよ」
「ふふっ、そうですね。私がいただいてしまいました」
「そ、その……これで飽きちゃったりしないですか?」
「はい?」
「だ、だって、ここに至るまで結構時間がかかりましたし、その、燃え尽き症候群的な……」
「失敬ですね。私が初めてをいただくだけの男だとでも?」
「そ、そういうわけじゃ……」
「燃え尽きるどころか、これからでしょう?」
「へっ?」
「体位というものをご存知で?」
「そ、それくらい知ってますよ!」
「なるみさんが気持ちよくなれるように、これからいろいろと試さなければいけないので私としては楽しみでしかないです」
「そ、そうですか……あの、健斗さん」
「何でしょう」
「さっきの、その初めてしたの……ちょっと気持ちよかったです……」
「……それはおねだりと受け取っても?」
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